欧米では「仕事」と「育児」が同じくらい大事

私は、日本の男性がこのように育児を軽視し親としての自覚を持てない傾向があるのは、なぜいま「父親=仕事、母親=家庭」という固定的な性別役割分担意識を解消する方向に世界が動いているのか、その根本を理解していないからだと考えている。

固定的な性別役割分担意識の解消は、仕事、育児、介護、家事、趣味など家庭また個人の人生におけるさまざまな行為をその価値に固定的な優劣をつけず、またそれを行うことを性別によらず自由に選択できる、そんな「平等」な社会に向かう上での自然な動きである。

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しかし日本では、この根本を理解せず、育児に比べ仕事に優位性を置いたまま固定的な性別役割分担意識を解消しようとしてしまっているため、価値の低いとされる、つまり「やりたくない」家事や育児を誰もが行わないといけない時代に向かっていると誤解し、時代の変化に抵抗感を抱く傾向が、歴史的に仕事を担ってきた男性を中心に強くなってしまっているのではないだろうか。

対して、私の現在生活するオーストリアを含む欧米では、「仕事=育児」もしくは「仕事<育児」の価値観を持つ人がとても多い。極端な話でなく、学校のイベントなど子供に関わることより仕事を優先させている親は性別にかかわらず少数派である。例えば、2学期制をとるオーストリアでは学期の代わり目である2月に1週間学校が休みになるのだが、この週の間、子供との時間を優先させ仕事を休む親が多いため職場は空席だらけになる。

このような空気の中だからこそ、欧米諸国では、共に価値のある「仕事」と「育児」を性別によらず平等に選択できる方向へと社会が動いているのだ。実際に、前述の内閣府の調査における夫の育児分担率は、欧米諸国では軒並み30%を超えている。