「無責任なプロジェクトメンバー」になっていないか

ここでまた、「男性は妊娠・出産・授乳をしないので、女性に比べて親としての自覚が湧かないのは生物学的にしょうがない」と指摘する人がいるかもしれない。例えば妊娠に関して、日本には実際に、妻の妊娠中に夫がお腹の子の親としての自覚を持てないのはしょうがないといった声が少なからずあり、前述の調査論文においても、父親の自覚を感じたエピソードとして「妊娠がわかった時」「お腹に触れて鼓動を感じた時」が占める割合は全体の1割以下である。

しかし、それはほんとうに「しょうがない」ことなのだろか。

考えてみて欲しい。9ヶ月後に運用を開始するプロジェクトを進めるチームの1人のメンバーが、運用はまだだから自覚が持てないと運用に向けた準備にほとんど参加せず、運用が始まったら今度は、準備段階からやってきた皆のようにはできないと前向きに仕事に取り組まなかったらどう感じるだろう

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もっと自覚を持つべきと不満に感じる人が多いのではないだろうか。自覚とは自然に湧いてくるのを待つだけのものではなく、状況によって自ら意識的に持てるものであり、それをしないのは、そこに価値を置いていないからに他ならない。

妊娠から出産という過程、また血の繋がりにかかわらず子供を育てるという過程は、未来ある命を対象とした壮大なプロジェクトである。上記のような仕事上の無責任なプロジェクトメンバーには腹が立つのに、父親としての自覚が持てないのはしょうがないと感じる人は、ただ単純に「仕事>育児」の価値観を内在させてしまっているのではないだろうか。