だがここで、日本人の男性は親としての自覚が足りないのではなく、自覚はあるが「男は仕事をして、女は家を守る」という旧来の性別役割分担意識に従っているだけだ、と指摘する人がいるかもしれない。

確かに、性別による役割分担が現在より強く固定化されていた過去には、育児に直接携わるのではなく、一家の大黒柱として家族が安定した生活を送り、また子供がいい教育を受けられるように仕事に邁進する、それこそが父親としての自覚だと考える男性も少なくなかっただろう。

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しかし現在、夫婦や家庭のあり方の意識は大きく変化し、性別による役割分担を固定化する考え方から、仕事も家事育児も性別に関係なく平等にその機会が与えられるべきという考え方に移行している。

このような考え方の中では、性別にかかわらず親として自覚を持つことと育児に携わることは直接的に結びついているといえる。実際に近年発表された調査論文(田中美樹らによる『「父親になった」という父性の自覚に関する研究』、2011年)でも、育児参加への意識の高い父親ほど親としての自覚を感じる傾向があるという結果が報告されている。

親の自覚は子とのふれあいから生まれる

例えば、上記の論文で報告された「父親の自覚を感じたエピソード」への回答で最も多かったのは、「子供を初めて見た時」「初めて抱っこした時」であり全体の6割以上を占めていた。父親は子供に見て触れて、父親としての自覚をもつ、ということが調査で明らかとなったのだ。また同論文では、育児参加への自覚が高い父親ほど親としての自覚を強く持ち、それが子供への愛着にも関連していることが報告されている。

これらの結果が示すのは、現代においては父親も、子供とふれあい育児に参加する事で子供への愛情を持ち親としての自覚を強める傾向があるという事実だ。

つまり、前述の18%という極端に低い男性の育児分担率は、日本では多くの男性が子供とのふれあいを十分に持たず、結果として親としての自覚を育む機会を得られていないということを意味している。