2007年、インド洋で補給任務にあたる海上自衛隊の補給艦「はまな」(左、Photo by gettyimages)

自衛隊は「調査・研究」のために中東へ行く? 日本政府の奇妙な論理

何でも正当化できる「打ち出の小槌」

「派遣ありき」で話を進めるから…

政府が検討を進める中東海域への自衛隊派遣。その法的根拠は防衛省設置法第4条「所掌事務」の「調査・研究」だ。活動は情報収集に限定され、民間船舶が攻撃を受けたとしても何もできない「お地蔵さん状態」。トランプ米大統領の顔を立てて派遣するだけのアリバイ派遣に過ぎない。

それでも、自衛隊が攻撃されれば応戦は可能。戦闘に巻き込まれる可能性はゼロとはいえず、はるか1万km先の中東まで出かけて行って、大騒ぎという事態になりかねない。

 

23日に開かれた衆院外務委員会。防衛省の槌道明宏防衛政策局長は「現時点でわが国の船舶に対する攻撃が想定されるような状況ではないが、今後、状況が変化する場合には、わが国に関係する船舶の安全確保のためにさらなる措置についても検討していく」と述べた。

さらに槌道氏は「仮に状況が変化し、必要な措置を取る場合には『海上警備行動』の発令が考えられる」と述べ、日本関連船舶の護衛ができる自衛隊法上の「海上警備行動」を発令する可能性もあるとの考えを示した。

この説明に、防衛省の苦しい立場が現れている。「現時点でわが国の船舶に対する攻撃が想定されるような状況ではない」のであれば、そもそも自衛隊を派遣する必要はない。槌道氏自身の言葉通り、「状況が変化」した後に「海上警備行動」を命じて派遣すればよいだけだろう。

派遣したがる首相官邸の意向を忖度して「はじめに派遣ありき」で検討を進めるから、中途半端な対応にならざるを得ないのだ。

2008年、インド洋へ向けて出航する護衛艦「むらさめ」を見送る自衛官(Photo by gettyimages)

「有志連合」への参加を求める米政府によい顔をする一方、イランとの伝統的な友好関係も壊したくない──。この二律背反を克服しようとした結果の独自派遣。そして派遣を合法化する苦肉の策が、防衛省設置法の「調査・研究」である。つまり、自衛隊は中東まで「調査・研究」名目で出かける、というのだ。