2019.12.16
# AI # 情報学

「ものづくり」の限界を超えるカギ「データサイエンス」に入門しよう

データと数学がひらく、材料工学の未来
サイエンスリポート プロフィール

「実証するんですよ。ここ数年のうちに、産業界の研究開発の最前線に行って、強力なパートナーシップの下で実際にモノができることを社会に発信する」

センターでは2018年度は6社、以降はより多くの企業と連携して、データサイエンティストの育成を含めた産学協働を計画している。

未知なる道に踏み出す製造業

「ちょうどいい時期にプロジェクトが始まったと感じている」と言うのは、ERATO 蓮尾メタ数理システムデザインプロジェクトの研究総括を務める、国立情報学研究所 システム設計数理国際研究センター長の蓮尾一郎准教授だ。

蓮尾一郎准教授
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「自動運転の実用化に代表されるように、品質保証を巡って、今、製造業の方がいわば未知の領域へ踏み出しています。これまで蓄積した経験的なノウハウだけでは十分ではなくなってくるのが目に見えているのだが、産業界でもどうしたらいいかわからないし、学術界でも誰が何を担うべきかはっきりしていない」

背景にあるのは、ものづくりにおける大きな変化だ。

「工業製品はもともと機械だったので、力学に則り、制御理論の成果を使って安定化させるという手法が基礎になっていますが、今やほとんどの製品にコンピュータ制御が入っているんですね」

 

「単純な機械の多くは線形システムなので,たとえば入力を2倍にすると効果も2倍になるというように、そのふるまいがある程度予想しやすいのですが、自動車など大規模で複雑なシステムのコンピュータ制御ではそうはいきません」

数学の「圏論」を使って、品質保証

安全な製品であることをどう説明し、どう保証するのか。そこでプロジェクトが用いるのは、論理学と、蓮尾准教授が特に専門としてきた「圏論(Category Theory)」である。

「圏論とは、代数学から生まれた構造記述のための数学の言葉で、ものとものの関係を抽出して抽象化するという使い道があります。同じく関係性を記述するグラフ理論とは異なり、現象そのものを抽象化するのではなくて、現象について語る理論について語り、これを抽象化する『メタ』な言葉であるところに特徴があります」

1940年代、数学の代数的構造を元にフランスに興った構造主義人類学とも関連があるのだろうか?

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