「ものづくり」の限界を超えるカギ「データサイエンス」に入門しよう

データと数学がひらく、材料工学の未来
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「しかしどんな応用分野であれ、データサイエンスにはデータの存在する領域しか予測ができないという限界がある。この限界を突破して、人の知性や経験を大きく上回る機械を作るためには、内部にデータを作り出すしくみが必須です」

そこで、吉田准教授のグループは『SPACIER』というアルゴリズムを開発した。

「『SPACIER』は、コンピュータの中に仮想的な実験室を作り、実験計画法とコンピュータシミュレーションで、外挿(現在データがない)領域にデータを作り出します。さらにこの逆問題を解くことによって、機械が新しい予測性能を獲得し、これまであった材料の分布から少し外に出ることができる。このような外挿性の獲得を何度も繰り返すことで、未踏領域に到達するアルゴリズムです」

コンピュータの中の、実験室? Photo by gettyimages
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「原理的には無限にデータを生産できるため、既存の領域を大きく超えることができます。また工業品の構造設計など、さまざまな分野に適用可能な汎用性も備えています」

言葉だけには、頼らない

機械によるデータの生産といえば、2017年、自分自身と対局することで強くなるAlphaGo Zero(アルファ・ゴ・ゼロ)でも話題になった。

「データを内部で生産しながら機械に「超創造性」を獲得させるという試みは、まだ始まったばかり。技術的な課題も多く、社会実装が本格化するにはもう少し時間がかかるかもしれません」

 

「少なくとも現在のものづくりの世界では、コンピュータの中の実験だけでは不十分です。むしろ実際の実験、理論、計算による研究開発と、データサイエンスのアルゴリズムの組み合わせによっていかに実現のシナリオを描くかが本質なんですね」

中期的にデータサイエンスと実際の実験・理論を循環させ、機械をどんどん賢くして、新しい材料を発見する。データサイエンスによるものづくりへのインパクトを「どう説明したら?」と聞くと、「言葉ではだめ」と吉田准教授は言った。

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