平熱35℃はがん細胞が最も増殖する…体温を上げる「入浴」最新研究

30℃で意識消失
上者 郁夫 プロフィール

細胞が「熱ストレス」を感じると

では、なぜ岩盤浴によって上記研究結果のような健康効果が見られたのでしょうか。今までご紹介してきた研究結果は、遠赤外線とマイナスイオン、そしてHSP(熱ショックタンパク質)によってもたらされたと考えます。

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私が研究で使用した岩盤浴施設に使われる鉱石からは、遠赤外線とマイナスイオンが発生していました。遠赤外線は、皮膚の下まで到達し、細胞組織と共鳴作用を起こして体を内部から温めます。毛細血管を拡張し、全身の血液循環を活性化させ、新陳代謝を促進します。中でも育成光線と呼ばれる4~14ミクロンの波長の遠赤外線は人体に吸収されやすく、体内の中で抗酸化作用を促したり、細胞や組織の活性化を促したりと良い影響を与えます。

マイナスイオンについては「科学的な根拠がない」という声もありますが、副交感神経を刺激し、血管を拡張し血行を促進することで酸素を全身に運び、汗腺や他の臓器の働きを活性化させることがわかっています。

そして私がとくに注目しているのが、HSP(ヒートショックタンパク質)の働きです。HSPとは、細胞が熱ストレスを感じたときに発生する、細胞の損傷を防ぐタンパク質の一群です。このタンパク質はどんな生物、植物、細菌でも持っているもので、特に熱によるストレスで増加します。HSPの働きは、正常に機能しなくなった細胞の障害部位を見つけて、どんなものでも治してしまう、また、細胞の障害がひどく修復が不可能な場合には、まわりの細胞に被害がでないよう、その細胞を死に導いてくれるというものです(これをアポト-シスといいます)。

私たちの細胞のほとんどはタンパク質からできており、このタンパク質が傷つけられることによって、様々な病気になります。細胞は傷ついた時やストレスを感じた時に自らHSPを生み出し、障害を治そうとしますが、そのHSPを生み出す方法として最も効率的なのが身体を温めることなのです。実際に体温を38.5℃程度に温めることにより、HSPを増加させ、病気の原因となる傷ついた細胞のタンパク質を修善させるHSP温熱療法という治療法も存在しています。