平熱35℃はがん細胞が最も増殖する…体温を上げる「入浴」最新研究

30℃で意識消失
上者 郁夫 プロフィール

「何かがある!」と感じた

岩盤浴とは、自然の鉱石やプレートに熱を加え、利用者がその上に横になることで生体への温熱効果を期待する温浴方法であり、昨今では、専門施設があったり、スーパー銭湯やリラクゼーション施設に設けられていたりと我々にとって身近なものとなっています。

 

私が岩盤浴に興味を持った理由は、岡山県倉敷市にある民間の岩盤浴施設『岩盤健康革命(旧なごみSaLaSaLa)』に通い始め、自分の身体が日に日に変化していくのを経験したからです。岩盤浴に通い始めてから、長年共生していた「水虫」の症状が薬を塗らなくても軽快し、次に膝関節の外傷後にたまり続けた「水」が溜まらなくなりました。また、15年間苦しめられた花粉症の症状が非常に軽くなったのです。

こうしたことから、「岩盤浴で体温を上げると体に何か有益な変化がおきる、何かがある!」と感じ、岩盤温熱療法の研究を始めました。研究を行う施設は、自身が経験したことを研究により明らかにしたい点、一般開放されており被験者の方々が通いやすい点から前述の岩盤健康革命にて行いました。

私が在籍していた大学での研究室(上者郁夫研究室)の岩盤浴(高温岩盤浴・低温岩盤浴)を使用した研究テーマは下記の通りです。

・2型糖尿病改善効果
・高脂血症やその他の生活習慣病改善効果
・各種アレルギー疾患改善効果
・低体温改善効果
・肩こりや神経痛の改善効果
・神経変性疾患
・がん治療

本記事ではこの中の2型糖尿病改善効果についての研究内容の一部をお話します。

【研究方法】
被験者:2型糖尿病患者7名
岩盤温度:約50℃ 浴室温度:42~44℃ 浴室湿度:約65~70%
入浴頻度:週2回[月木、火金、水土(日)]
入浴方法:被験者は岩盤の上にバスタオルを敷き、作務衣着用で15分間入浴を3回繰り返す。また、入浴の間に5~10分間の休憩をはさむ

検査項目としては、体温、空腹時血糖値※1、HbA1c※2、血中インスリン値※3、インスリン抵抗性※4の岩盤浴入浴実験1年間と実験終了1年後の検査数値の変化を見ることにしました。また、被験者の中で投薬をしている方は5人。生活習慣は岩盤浴入浴実験前と同様にし、定期的な運動習慣や厳しい食事制限を行なっている被験者はいませんでした。

※1 食事前における血中にある糖分の値
※2 赤血球中のヘモグロビンが、どれだけの割合でブドウ糖と結びついているかを示す値。平均血糖値を示す指標であり、値が高いほど血中における糖が多くなる
※3 インスリンは膵臓から分泌される、ブドウ糖の消費を促進する作用を持つホルモン。血中インスリン値はその名の通り、血中のインスリンの量を示す
※4 血中のインスリンが十分に作用しているか測る指標。インスリン抵抗性の値が高いと、インスリンの効きが悪いことを示す