書店員の私が「メルカリ」で「万引き犯」を追い詰めた、意外な方法

万引きは変化している

棚にできた隙間

筆者は、関東のとある駅前の書店で店長をしている。8月のある日、売り場を確認していると人文書の棚から一冊の本の下巻が姿を消していた。その時は「売れたのか」くらいにしか思わず、気にも留めなかった。

しかし何かが気になる。販売履歴を調べてみると、やはり販売した形跡がないではないか。私は、店で万引きが発生している可能性をスタッフ全員に伝えた。

数日後、同じ人文書の棚を見ると今度は数冊分の隙間ができていた。数日前までそこに置いてあったのは、ベストセラーになった人文書上下巻とその続編の上下巻。やはり履歴を確認したが、前回と同じく販売した形跡はなかった。この棚で常習の万引きが発生している。そう確信した私は店内の見回りと声かけをスタッフに徹底させた。

〔PHOTO〕iStock

万引き防止の方法はふたつ。

ひとつめは店内を商品整理などと合わせて見回りし、スタッフが店内にいる時間をできるだけ確保すること。スタッフの動線は習慣化してしまうと同じ場所ばかり移動することになるので、意識してルートを変え、スタッフのいない死角を消していくことも試みた。

ふたつめは店内にいるお客様に「いらっしゃいませ」の一言を積極的にかけること。万引き目的の人間が「店側が警戒している。万引きの存在を知っているかもしれない」と思ってくれるかもしれない。

 

これらの対策に加え、万引きが発生したという事実をスタッフ間で共有し、店舗の防犯意識そのものを高める。これで怪しい行動を取る人物などに迅速に対応できるようになる…はずだった。

ところが、それでも数日後にまた人文書から一冊の本が消えていた。これはしぶとく店の隙を窺いながら本を盗む悪質な手口である。

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