一方で、配当利回り(12ヵ月先予想基準)は市場の7割程度と相対的に低くなっているが、これはPER、PBRともに割高なためだろう。
参考までに直近の絶対値を列挙すれば、PERは23倍、PBRは3.5倍、配当利回りは1.8%である。TOPIXがPERで13倍、PBRで1.2倍、配当利回りで2.6%であることを考えると、いかに割高かが分かるだろう。
株式投資の原則として、「割高だから買う」という選択肢は論理的に取りえないため、少なくともセクター単位で見ればゲーム業界全体としてはバリュエーションが高いことは意識されていないか、デメリットにはなっていないのだろう。
すごい「自己資本比率」
次いで、昨今の日本株市場内で隆盛を誇っている「クオリティ」と、銘柄の成長性に関するファクターだ。
ここでは、クオリティ指標として代表的なROE(12ヵ月先予想)と自己資本比率(実績)を、成長性としてEPS成長率(12ヵ月先予想)を見ている。ROEは資産が効率的に利を生む質の高い資産かを判別する指標、自己資本比率は資産のうちの自己資本と負債の割合として財務の健全性を見るものだ。
両指標ともTOPIXを大幅に上回るが、特に自己資本比率の高さが際立つ。
具体的には、TOPIXの自己資本比率が31%であるのに対し、ゲーム銘柄は2倍を大きく超える75%に達する。ほとんど自己資本で経営がなされている業界と言っても過言ではない。
ROEも、現在のTOPIXの9%に対して14%と優秀で、足元も切り上がっており、前述のPBRの割高さを正当化できる。