10月とは思えないような暑さだったのが、急に明け方は肌寒くなってきた。人間は激しい気温差で体調を崩しがちだが、寒くなるときに「猫の体調」で気をつけたほうがよいことがあるという。それが「尿路閉塞」。つまりおしっこの通り道がつまってしまうこと。

それは何が原因でなり、どのような症状になるのか。飼い主ができることはなにか。作家で獣医師の片川優子さんにお伝えいただく。

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愛猫が元気でいられるために考えておいた方がいいこととは―― Photo by iStock

おしっこが溜まって命まで…

ある肌寒い日のこと、勤務先の動物病院に意識を失ってぐったりしたオス猫が運び込まれてきた。飼い主に話を聞くと、朝からこの猫の姿が見えず、探していたところ、お風呂場の浴槽内で倒れていたそうだ。

浴槽には水が張っていなかったにもかかわらず、猫の体はびしょびしょに濡れていた。匂いを嗅ぐときついアンモニア臭がする。猫は自分のおしっこの中で意識を失って倒れていたのだ。

体温も低く、脈も遅い。命の危機に瀕していることは明らかだったため、すぐに緊急入院。体を温め、必要な処置を行うとともに、全身の精査を行なった。

原因は尿路閉塞。つまり、おしっこの通り道がつまり、膀胱に限界までおしっこが溜まってしまったのが原因だった。発見されたときには、オーバーフローにより多少排尿していたようだが、膀胱にはまだまだ尿が溜まっていた。飼い主に聞くと、ほかにも何頭か猫を飼っているため、この猫が最後にいつおしっこをしたのか分からないという。

入院治療により、この猫は幸い命を取り留めたが、発見や来院が遅れていれば、命を落としていてもおかしくない状態だった。
たかがおしっこ、されどおしっこ。今回は、これからの時期に増える、決して侮れない猫の尿路閉塞についてお伝えしていく。