ガンの手術・薬を「断った人」は、その後どうなるのか

著名人が続々と証言
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三壽さんは人生でなにを優先すべきかを考え抜いた結果、治療を受けることをやめたということだ。湘南ホスピタルで緩和医療に携わる奥野滋子医師も、こんな患者のケースを明かす。

「60代で肺がんを患った女性患者さんの話です。彼女は芸術家だったんですが、手術や化学療法で、手がしびれたり、自分の感覚が鈍くなって、作品を作ることができなくなることを恐れていました。『そうなってしまっては、私が生きている意味がないんです』と真剣な顔で言うのです。

治療によって必ずしも副作用が出るわけではないですし、完治すればまた普通に制作できるようになると説明しても、頑なでした。彼女にとっては、命を長らえることよりも、いまこの時に作品を作ることのほうが大切だったのでしょう。

 

もう一人、とある会社の重役を務める男性で、ステージIVのすい臓がんの方がいらっしゃいました。『ステージIVということは、治療をしても残りの人生は短いということですね。

それならば、私はこの会社とともに生きてきたので、残る人生を会社のために捧げたい』と、治療を受けずに、亡くなる直前まで働くことを選ばれました。抗がん剤治療を受けながらでも働くことはできるのですが、治療を受ける時間さえもったいないと言わんばかりでした」

医師としてはこういうケースが一番悩ましいという。創作すること、働くことが自分にとっての一番の生きがいだと言われれば、それを否定してまで治療をすることが患者のためになるのか、と逡巡する。

患者が手術や副作用についての間違った認識を持っていることもあるため、医師は「適切な治療を行えば、進行を抑えられる可能性があること」「抗がん剤治療を行っても、副作用があまり出ない場合もあること」など、丁寧に説明する。

それでも治療を受けないことを患者が選んだ場合は「それが本人の選んだ人生なのだ、と受け入れるしかないのではないか」と奥野氏はいう。

「ホームオン・クリニックつくば」の平野国美院長も、自分の人生について考え抜いた末の患者の決断は尊重するしかないとして、こう語る。