ガンの手術・薬を「断った人」は、その後どうなるのか

著名人が続々と証言
週刊現代 プロフィール

「検査の結果、その患者さんのがんは、手術ができないステージIVまで進行していることがわかりました。

それでも、抗がん剤などを使って進行を抑えることはできるので、治療を行うように強く勧めたのですが、本人は『自分はもう定年している。好きなことをやってきたから、いつ死んでもいいんだ』と拒否されました。自暴自棄ということではなく、人生の最期を悟り、達観した感じでした。

そこまで覚悟を決めているなら、と本人の意思を尊重し、治療をやめました。結局この患者さんは3年後に亡くなられましたが、手術ができないほどがんが進行していたのに、3年も生きられたのは驚きです。無理に治療を行っていたら、1年も生きられなかったのではないかと思います」

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また、虎ノ門日比谷クリニックの大和宣介院長によると、そもそも手術や治療をしないほうがいい場合もあるという。

「たとえばすい臓がんは気が付いたときは手遅れで、手術が難しい例が大半です。手術を受けても入院治療が長引くことが予想されます。退院できないまま、病院で亡くなるということも珍しくありません。

 

反対に手術や抗がん剤治療などを受けなければ、もう少し長く生きられる場合もあるので、すい臓がんの患者で『長く生きるために治療を受けない』を選択する方がいます」

それでも11年生きている

もうひとつ、家族や知人ががん治療で苦しむ姿を間近で見て、「自分ががんになったときには治療は受けない」と、病院の治療を断る患者もいる。医療ガバナンス研究所の上昌広理事長が説明する。

「手術も抗がん剤などによる化学療法も、医師の技量によって治る・治らない、苦しむ・苦しまないが大きく変わってきます。やはり胃がんや大腸がんの専門病院の医師は、経験も豊富なため、患者が苦しまないように的確な治療を行います。

しかし病院によっては医師のレベルが低く、無理にがんを切ったり、必要のない投薬をするケースがある。切り方が悪ければ、後遺症が残ります。たとえば食道がんの手術を行った後、ものが食べられなくなり、やせ細る患者さんもいらっしゃいます。

そのように、治療を受けた後で苦しむ家族や知人患者を見て、『自分ががんになったときには、あんなふうに苦しみたくない』と思い、実際にがんになったときに治療を断る人がいます」

五代目柳家小さんの弟子で、『落語家、医者に頼らずがんと生きる』の著者の柳家三壽さん(73歳)も、知人が苦しむ姿を見て、がん治療を行わなかった一人だ。