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ガンの手術・薬を「断った人」は、その後どうなるのか

著名人が続々と証言

抗がん剤治療が苦しくて

〈春の闇 どう考へても 苦あれば苦〉
〈激痛の 波に夕凪 なかりしか〉

'97年に食道がんで亡くなった随筆家の江國滋は、闘病日記『おい癌め 酌みかはさうぜ秋の酒』のなかで、がん治療が続く暗澹たる気持ちをこんな句で表現している。がん患者の苦しみは、いかばかりのものか、たったの17音からでも十分に伝わってくる。

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がん手術の技術は日々進歩し、100種類を超える抗がん剤も登場している。がんの多くは手術や薬によって治療が可能、あるいは進行を遅らせることができる時代だ。それでも、治療を止めてしまう人、治療を受けないと決めた人がいる。

「抗がん剤治療をやめてもうすぐ1年になります。あのときのつらさは、筆舌に尽くしがたいものがありました」

こう話すのは『おしん』や『ゲゲゲの女房』など数多くのドラマに出演してきた女優の東てる美さん(63歳)だ。

 

東さんは、昨年6月に出演したバラエティー番組の企画で人間ドックを受診したところ、肺腺がんと診断された。ステージはIB。「いま手術をすれば完全に治る可能性が高い」と医師に言われ、同年7月、肺の5分の1を切除した。

手術は無事成功。だが、8月に受けた術後の検査で、リンパ節にがんが転移していることがわかった。今度は医師から抗がん剤での治療を勧められ、1回3週間をワンクールとする治療を4回行う予定だったが、2回目の抗がん剤投与を最後に治療を中断。以後、現在に至るまでまったく治療を受けていないという。

その経緯について、東さんが明かす。

「抗がん剤治療が本当に苦しかったんです。

最初にリンパ節へのがんの転移が見つかったときには、抗がん剤治療で克服できるとお医者さんから言われましたし、治す気まんまんでした。

1度目の治療を受けたときには、まったく問題がなくて、『苦しいとは聞いていたけれど、こんなものか。これなら闘えるぞ』と思っていたんです。

ところが2度目の治療を受けたときのこと。突然、手がしびれはじめて、蝉の鳴き声のような大音量の耳鳴りが始まったんです。時間が経ってもまったく収まる気配がなく、眠れない日が続きました」