「瞳に映った景色」からアイドルの自宅を特定した男「驚愕の手口」

プロでもなんでもない素人が…
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「ピース」から指紋を読み取る

たった一枚の写真から個人の特定が容易になった原因はこれだけではない。カメラなどの技術革新が個人情報の特定に一役買っている。

例えば、デジタル写真は、パソコンのソフト等を利用することで、明るさや色を簡単に補整することができる。プリントの写真では暗かったり、ぼやけたりして見えなかったものが、デジタル写真では鮮明に見ることができるのだ。

 

デジタルカメラ本体の性能も向上している。カメラ付き携帯電話が登場した20年ほど前、カメラの画素数はおよそ10万画素程度だった。それが今では200倍のおよそ2000万画素のカメラ付きスマートフォンが普及している。

国立情報学研究所が2016年に行った興味深い実験がある。3mも離れたところからデジタルカメラでピースサインをした人物を撮影する。その写真から指紋を解析することに成功したというのだ。この実験を行った国立情報学研究所教授の越前功氏が説明する。

「このとき、指紋をもとに、凹凸を再現した『人工の指』を作製したところ、その人になりすまして、スマホの『指紋認証』を突破することができました」

ピースをする際には、顔の横に手を掲げることが多い。顔にピントが合っていると、自ずと指にもピントが合うことになる。こうした写真から指紋を盗まれてしまう。

ほかにも海外の研究機関の実験では、撮影した顔写真の眼の虹彩から、その人の瞳を再現したコンタクトレンズを作製した例もある。第三者がこれをつけて試してみたところ、虹彩認証のスマホのロックを解除することに成功したという。

「指や眼が写っているということは本人の顔もまず一緒に写っている。顔や背景から個人情報が特定され、その次にATMなどの生体認証も突破されてしまう可能性があります。生体情報は終生不変なものなので、一度盗まれてしまうとやっかいになります」(越前氏)