玉置の部屋には、クビを吊った議員の事務所もあった。
「松岡利勝元農水相は、一時期、『松岡利勝政策研究会』『緑友会』などの関連政治団体を玉置部屋の一つに置いていました」(玉置の関係者)
松岡は農水相時代に「ナントカ還元水」で話題になった不透明な事務所費問題などを追及され、'07年、議員宿舎でクビ吊り自殺。衝撃を与えた。
金丸の隠し部屋「405」
203号室については、玉置夫人が、昨年逝去するまで所有し続けたが、この部屋を借りていたのが先の村上である。村上は、私の取材に対し「玉置夫人が相続した経緯はよく知らない」と釈明したうえ、パレ事務所のメリットを、こうに語った。
「パレには金丸やハマコーの事務所もあり、気楽に訪問し合った。権力の三角地帯と言われたが、人目を気にせず、すぐに会えるからこそ、政治家同士親密な人間関係ができ、密室でいろんなことが決められたんだ。夜はよく部屋で酒を飲んだ」
パレを足場にして、村上は参院議員を20年以上務め、自民党の参院幹事長などを歴任したが、'01年にKSD事件に連座して議員辞職する。東京地検特捜部に逮捕され、無実を主張したが実刑判決を受けた。
刑期満了後、パレ203号室に「日本の司法を正す会」を設置し、司法批判を続けたが、「昨年、貸し主である玉置夫人が亡くなったため、事務所を畳むことになった」と話した。
パレには他にも、中山太郎元外相、奥田敬和元郵政相、亀井静香元金融・郵政改革担当相といった政治家も事務所を置いていた。村上が言うように、密室政治に好都合だったからだ。その象徴はやはり「キングメーカー」「政界のドン」と呼ばれた金丸信だろう。'93年時点で、パレに4つもの事務所を構えていた。
元自民党本部職員で政治アナリストの伊藤惇夫氏は、パレの金丸部屋を「悪の巣窟」と形容する。