11月 4日 安政東海地震が発生(1854年)
科学 今日はこんな日地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。
"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
この日、規模M8.4の巨大地震が東海道沖で発生し、九州西部から近畿地方にかけて強い揺れが観測されました。この約32時間後に発生した安政南海地震や、翌年の安政江戸大地震とあわせて「安政の三大地震」あるいは安政地震、安政大地震とも呼ばれています。
震度は駿河湾西側および甲府盆地で、震度は7程度だったと推定されます。震源は熊野灘・遠州灘沖から駿河湾で、フィリピン海プレートがユーラシアプレート下に沈み込む南海トラフ沿いで起きた海溝型地震と考えられています。
フィリピン海プレートが、日本列島を載せるユーラシアプレートの下に潜り込もうとするスピードは1年に4〜5cmと言われており、これに引き込まれるユーラシアプレートが耐えきれずに起こす滑りが、100~200年周期で発生します。このメカニズムが「南海トラフ大地震」の原因ですが、安政大地震はこの南海トラフ大地震のひとつと考えられています。

この地震による被害は、家屋倒壊・火災・津波が大きく、数千人の死者が出たと伝えられています。
被害は関東地方から近畿地方におよび(江戸や京都で震度5〜6程度と推定)、とくに箱根、沼津から伊勢湾沿いの東海道筋、および甲府盆地の被害が甚大で、当時の古文書でも「丸壊・丸焼」といった言葉が出てきます。家屋の倒壊は信州から北陸地方でもみられました。
また、津波は、千葉県の銚子から紀伊半島にかけての地域を中心に、太平洋沿岸で発生しました。三重県鳥羽市、志摩半島にある常福寺境内の「津波流出塔」には、「碑文の中に「於當村浪高彦間而七丈五尺」の文字がみられ、簡単に1丈=3mで換算すると、22.5mになります。

南海トラフ大地震は100〜200年周期で起こるとされています。現在、静岡県駿河湾沖のエリアでは、プレートの滑りを起こすひずみが解消されずにいると言われ、近い将来、日本大動脈である東海道エリアを中心とする大地震の発生が懸念されています。
また、安政大地震のように、駿河湾沖を震源とする地震が起きた場合は、連動するように南海トラフの別エリアでも地震が誘発される、という説もあり、いっそうの備えが必要となります。
南海大地震、今度起きたら、こちらもやばい!?
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震は、富士山の様相を決定的に変えてしまった。富士山内部のマグマだまりに「ひび割れ」が生じたことに、火山学者たちは青ざめた。
「そのとき」何が起こるのか。南海トラフ巨大地震との連動はあるのか。火山の第一人者が危機の全貌を見通す!