photo by iStock

名門企業に社長解任を求めた“令和の村上ファンド”の「素顔」

メガバンク3行を巻き込んでゴタゴタ

多くの不動産を持つ100年企業がターゲットに

115年続く名門企業がアクティビスト(=物言う株主)の脅威にさらされている。これまで純投資目的の投資ファンドが今年になって突然、アクティビストに豹変。株の買い増しを進めた上で、社長解任や株主防衛策の取り消しを求めているからだ。11月4日にはファンドの要請で臨時株主総会が開かれるという。

アクティビストのターゲットとなっているのは東証一部上場の乾汽船だ。創業したのは、1904年に「乾坤丸」を購入して海運事業に乗り出した乾新兵衛氏。その後1908年に乾合名会社(33年に乾汽船株式会社に社名を変更)を設立、第一次大戦後の特需で、山下亀三郎氏(山下汽船創業者)、内田信也氏(内田汽船創業者)、勝田銀次郎氏(勝田商会創業者)、岡崎藤吉氏(岡崎財閥創業者)らとともに「神戸海運5人男」と呼ばれるようになった。

 
新兵衛氏の後任社長には長男の乾新治氏。3代目は新治氏の娘婿の乾(旧姓高橋)豊彦氏が1941年に就任。52年に東証・大証他各証券取引所に上場、68年に和洋汽船を吸収合併した。
4代目は86年に豊彦の長男、乾英文氏が就任、2001年には5代目社長に英文氏の長男、乾新悟氏が就任した。そして2014年10月1日にはグループ会社のイヌイ倉庫と合併、株式を東証一部に上場した。存続会社はイヌイ倉庫で、社長には英文の次男でイヌイ倉庫の社長を務めていた乾康之氏が就任し、三男の乾隆志氏が専務(現取締役)に就任した。

康之社長は未曽有の大不況の見舞われている海運事業を再建するために、2017年には最終年度に純利益19億円(ROE=10.3%)を目標にした中期経営計画(2017年同4月~20年3月)を発表した。

乾康之社長(乾汽船HPより)

そんな新しいスタートを切る2年ほど前の2015年2月17日。大量保有報告書に無名の投資ファンドの名前が浮上していた。

「MSインベストメンツ」
赤坂のアーク森ビル17階に本社を構えるこのファンドは5.22%の株式を取得。その2ヵ月後には社名を「アルファレオ」に変更している。代表社員は崎田和樹氏。

MSインベストメンツが市場から合併前の乾汽船株の買収を開始(株を取得し始めた)したのは2014年9月ごろから。2017年6月から株主総会にも出席していたようです」(アルファレオに詳しい金融関係者)

その後アルファレオは共同保有者、アルファレオ・キャピタル・アドバイザーズ・リミテッド(ACAL、本社はアブダビ首長国連邦ドバイ)とともに、乾汽船の株式を22.07%まで買い進め、2019年2月15日、非常に類似した名前の投資会社、アルファレオホールディングス(アルファレオHD、2015年5月設立、本社は千代田区永田町の山王パークタワー)に売却した。