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マクロン仏大統領の「原発新設計画」にドイツが反対する不思議

偉そうなことは言えないはずなのに…

15年をめどに計6基を建設

EDFは世界で2番目に大きいフランスの電力会社だ。2004年から民営化されているが、今でも国が株の8割以上を所有しているから、ほぼ国営といって良いだろう。世界各地で発電事業に関わり、15.8万人の従業員を抱えている。

そのEDFに対してマクロン仏大統領が、新たなEPR原発の建設計画を策定するよう求めているということを、いくつかのメディアが報じている。具体的には、これから15年をめどに、2基ずつ3ヵ所、計6基のEPRを建設するということらしい。

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EPR(European Pressure Reactor)というのは加圧水型原子炉のことで、世界でもっとも進歩的といわれる。かつてフランスのフラマトム社とドイツのシーメンス社がアレヴァという会社を作り、共同で開発した。その後、シーメンス社はこのプロジェクトから降りてしまい、フランスのオラノ社(旧アレヴァ)が事業を引き継いでいる。

ちなみに、フランスの原子力事業の雄であるオラノ社には、フランス政府のほか、三菱重工や日本原燃なども出資しているから、同社のプロジェクトの動向は、日本人にとっても他人事ではない。

 

現在、新鋭機EPRの建設が進んでいるのは、フィンランド、フランス、中国だ。しかし、フィンランドのオルキルオトも、フランスのフランマンビルも、建設が大幅に遅れている。

それに比べて、CGN(中国広核集団)とEDFが中国の台山に建設していたEPRは、すでに去年完成。そのうえ、中国の三門で建設されたアメリカのウェスチングハウス社製の加圧水型原子炉であるAP1000も、やはり去年より発電を開始している。どちらも、フランスやフィンランドより着工はずっと後だったが、難なく追い越してしまったわけだ。

フィンランドがオルキルオトに建設中のEPRは、今年、運転許可を受け、商業運転が開始されるのは来年になる見込みだ。これが動けば、現在稼働中の4基と合わせて、フィンランドの原子力のシェアは4割まで上がるとして期待されている。

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一方、フランスがフランマンビルに建設中のEPRは、2007年の着工当初は、建設費35億ユーロの予定だったが、その後どんどん膨らみ、今では124億ユーロを超えるといわれる。運転開始も最初の2012年から延び延びになって、2022年末以降らしい。

そんなわけでEDFは、いくらマクロン大統領の要請とはいえ、今はおいそれと次のEPR建設計画など立てられない。足元のフランマンビルだけでなく、オルキルオトの建設の遅延もEDFの財政を激しく圧迫している。