ボタニカルブームが酒業界にまで…「クラフトジン」の快進撃

地方が熱狂している
一志 治夫 プロフィール

「早くやらなあかん」

――それが3年前のことですね。

山本:そのときは、古来から伝わる奈良の薬草を使って、日本で最初のクラフトジンをつくろうと思ってたんです。奈良は薬草が大陸から最初に入ってきた土地でもあるし、薬草の種類もいろいろとある。これは、いい、と思ったんですよ。でも、家に帰って調べてみたら、すでに京都ではジンをつくっていて、そのあと岡山のジンも出てきて、これは早くやらなあかんぞと言っている間に、どんどん各地から出てきちゃって(笑)。

「大和蒸溜所」の外観。向かい側にある「油長酒造」の建物も風情ある建築だ
 

――ただ、酒蔵とはまったく違う蒸溜設備への投資も必要ですし、場所も必要ですよね。

山本:私たちは小さな企業なので、日本酒を増産して、拡販していくという志向は向いていないと思うんです。とはいえ、ここまで続いてきた商売を継続し、子どもにもバトンタッチしていきたいとも思う。そういう意味でも、自分だけでなく、社員全員のテンションも上げていきたかった。スタッフの創造性とか、クリエィティブな感覚をこういう形で表せれば、チーム力がつくんじゃないか、と思ったんです。ちっちゃな会社の中のちっちゃなベンチャーみたいなスタイルですね。他の社員も自分たちは新しいことをやりたいと言えばできる環境にいると思ってくれるし。それで、酒蔵の斜め向かいにある古民家をリニューアルして蒸溜所にしたんです。

日本各地でクラフトジンは次々と誕生している。
北海道・紅櫻蒸溜所「9148」
神奈川・黄金井酒造「黄金井」
愛知・清洲桜酒造「愛知クラフトジンキヨス」
京都・京都蒸溜所「季の美」
岡山・宮下酒造「クラフトジン岡山」
愛媛・水口酒造「道後ジン」
鹿児島・西酒造「尽」 など...

それぞれ焼酎メーカーだったり、造り酒屋だったりする。共通するのは、柑橘類やハーブ、など地元産のボタニカルを使っていることだ。

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