ボタニカルブームが酒業界にまで…「クラフトジン」の快進撃

地方が熱狂している
一志 治夫 プロフィール

日本酒ブームが成熟した今

――「クラフトジン」をつくろうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。

山本:たまたま台湾でバーをやっている日本人の友だちが来日したときに奈良のバーを案内してほしいと言われたんです。僕は奈良にいいバーなんてあるのかと思っていたんですけど、実は、ワールドクラスのバーテンダーが3人もおられたんですね。それで、桜井市にある「ザ・セイリング・バー」に行って、3人のうちのひとり、渡邉匠さんのつくったジントニックを飲んでみたら、ものすごく美味しかったんです。

古民家の中に設営したジンの蒸溜設備
 

僕は正直、ほとんど日本酒とワインとビールしか飲まない人間やったんですけど、それまで口にしたジントニックとは一線を画した美味しさだった。氷、注ぎ方、混ぜ方とすべてが違ったんです。それで、あまりに未体験のことやったから、そのあと、何回か社員を連れて通うようになり、ジンの世界を知ることになったんです。

そうこうするうちに、渡邉さんから「奈良でジンをつくるとしたら、油長さん以外ないよ」みたいなことを言われて、えっ、となった。一緒に通ってた入社7年目の社員の板床がスピリッツ好きで、やりたいというし、それでジンづくりを始めたんです。

日本酒はいま、穏やかに成熟期を迎えつつあって、新しい醸造技術を追求しながらも、まったく別のステージとして、日本のエッセンスをふんだんに含んだスピリッツをやってみてもいいかな、というのもありました。素敵な地方の割烹で、最初にビールが出てくるところを、その地元の地域性あるジンを飲むというのもありだな、と思ったんです。

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