ザッカーバーグが「殊勝な発言」を繰り返した理由
2020年半ばに導入を計画する暗号資産(仮想通貨)「リブラ」に関し、10月23日、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は下院金融サービス委員会の公聴会に出席した。

終始殊勝な発言を繰り返したザッカーバーグ氏の姿が印象的であった。
フェイスブックがリブラプロジェクトの「理想的なメッセンジャー(伝え手)」ではないと述べてみたり、状況次第ではフェイスブック自身がリブラ協会を脱退する可能性に言及してみたり、挙句には「リスクのあるプロジェクト」で上手く機能するかは分からないといったことも述べたりしていた。
取り締まる側と取り締まられる側という構図がはっきり出ていた印象である。
とはいえ、公聴会でザッカーバーグ氏が防戦一方になること自体は予想されたものだ。
そもそも公聴会前に相次いだメンバー企業脱退の背景には米議会議員からの「リブラプロジェクトに関与した企業はその企業自体への監視が厳格化される」といった脅迫にも似た動きがあったと考えられる。
「殊勝な発言を繰り返して当局を刺激しない」以外の戦術が許される状況ではなかったのは容易に想像がつく。