2019.11.03
# 企業・経営

猫屋敷の主が直面した「3万5000頭殺処分」のヤバすぎる現実

「愛情」ではなく「物流」で猫を救おう
小泉 カツミ プロフィール

猫付きマンション?

さらに、東京キャットガーディアンでは、10年からは日本初の「猫付きマンション®」を、14年には「保護猫付きシェアハウス®」の事業を開始した。続いてペット可の物件を扱うポータルサイト「しっぽ不動産」の事業も開始した。

猫付きシェアハウス®︎のリビングにはキャットウォークが取り付けてある
 

「大手不動産仲介業者でもペット可の物件は17%に過ぎません。だからほとんどの場合、隠れて飼っています。高齢化が進んだ公団ではおそらく半分の人たちが猫か犬を飼っているんです。入院時や、転居でもなかなか連れていくことが難しい。すると置き去りにするなど悲惨なことになってしまいます」

 

老朽化のために建て替えとなった大型団地から大量の猫が出てきたという話も聞く。

「『猫付き』という言葉に魅力を感じてもらえると、物件の借り手が決まりやすいので、興味を持つオーナーさんも増えています。ただ、知っておかなければいけないことも多々ありますので、勉強会も随時行っています」

また、東京キャットガーディアンでは、成猫の引取りと再譲渡事業「ねこのゆめ」も行っている。これは、高齢者や、病気で入院せざるを得ない人が「もし、私に何かあったら猫をお願いします」というニーズに対する積立式の引取り事業である。

面談を終えて晴れて里親合格となった家族は、「うちの子」を懸命に探す。子どもたちがゲージの前を行ったり来たり、時には猫とじゃれ合いながら……。ようやく決めた「うちの子」をスタッフに告げると、持ってきたゲージに猫を入れて記念撮影。そして「家族+1匹」は笑顔で家路に着いたのだった。

山本さんが言う。

「譲渡の瞬間は寂しい思いもあります。でも、私たちがこの活動をやっていなければ年間700頭の猫が死んでいることになる。救えなかった命を考えると辛いけれど、こうして生きていてくれてよかったと思えるんですね」

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