2019.11.03
# 企業・経営

猫屋敷の主が直面した「3万5000頭殺処分」のヤバすぎる現実

「愛情」ではなく「物流」で猫を救おう
小泉 カツミ プロフィール

「病院を持とう」

しかしある日、欧米の保護動物シェルターの管理運営方法についてのハウツー本に出会い、保護団体を運営していくためには、報酬を生み出していく必要があることを知った。

「大赤字にならない運営を続けるための仕組みは、不妊去勢手術だとわかった。その病院を持つことが運営の肝だと理解できたんです」

病院でケアをし、手術をする費用をちゃんと里親に請求する。拾ったとしてもかかってしまう費用だ。その費用を保護団体から譲渡してもらう時も必要なのだ、という認識があれば、運営に回していくことができるではないか。山本さんは、試算をしながらそう気づいていったという。

ビルの5階の開放型シェルターでは、猫たちがのびのびと遊びまわっていた
 

「私たちがやろうとしていることは、愛情に基づいたボランティアではなく、実は『ロジスティック』、つまり『物流』なんだと思いました」

「野良」と呼ばれる地域猫でも、問題は不妊手術をしていないがために増え続けてしまうことだ。欧米では、仔猫のうちに手術をしておくのは常識だが、日本ではその認識が定着していないために、増え続けてしまうのである。

山本さんたちは、獣医師を内部に入れることで、この活動がサスティナブル(持続可能)なものになると確信したのだった。

「そうすれば猫はけっして不幸にはならない、里親になる家族も納得し、覚悟を持って飼ってくれると思ったのです」

諸費用の合計は、3万4000円〜4万4000円(ワクチン接種の回数、ウィルス検査の有無によって異なる)。内訳としては、「不妊去勢手術代・駆虫費用・3種混合ワクチン・パルボウィルスチェック・その他の医療費・飼育費用・飼育施設維持費及び人件費・しっぽコール(個体番号によって迷子猫を探す仕組み)・加入費・事務手数料」となっている。

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