「病気」とは逃れることはできない、
共存するもの

伊是名さんにとって重要だった3つのポイントの最後は「NICU(新生児集中治療室)がある病院で出産すること」だった。骨形成不全症が遺伝している赤ちゃんを産むことを想定していたからだ。幸い、紹介されたのはNICUがある大学病院だったので、この点でもよかった。

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「病気を理由に妊娠を中断する」という選択肢はまったく考えていなかった伊是名さんは、骨形成不全症の出生前診断についての情報は特に探さなかった。

「私は、病気というものは完全になくすことはできなくて、『いつかかるか』というタイミングの問題でしかないと思っているのです」
「出生前診断で赤ちゃんに病気が見つかったら産まない」という考え方は、伊是名さんにとって非常に理解し難いものだった。
「『健常な赤ちゃんなら、産む』という人には、私は『生まれた時だけ病気でなければ、それでいいの?』と聞きたくなってしまうのです」

伊是名さんは、31歳で無事に男の子を出産した。妊娠当初は「妊娠が、少なくとも27週(通常の妊娠期間は37週~40週)を超えるまではお腹で赤ちゃんを育てられるようにがんばりましょう」と言われていたところを、なんと妊娠35週まで持ちこたえることができた。帝王切開の傷は通常の帝王切開より大きいものとなったが、生まれてきた第1子は2160gあり、骨形成不全症の遺伝はなかった。

第一子出産直後 写真提供/伊是名夏子

そして第二子の女の子も同じ週数での帝王切開となったが、不思議なことに、この子は第一子とまったく同じ体重で生まれてきた。それが伊是名さんの身体にちょうど良い大きさで、子どもたちがそれをわかっていたみたいだ。この子にも、骨形成不全症の遺伝はなかった。今、伊是名さんはヘルパーさんやボランティア、ファミリーサポート、ママ友、近所の方などたくさんの人に育児と自分の生活を助けてもらっている。