2019.10.25
# 量子コンピュータ

それでも量子コンピュータが本当に役に立つか疑わしいこれだけの理由

「画期的新技術」に踊らされるな
大原 浩 プロフィール

量子コンピュータの性能はまだ未知数

そもそも、現在量子コンピュータに関して、最もホットな議論は「量子超越性の実証」である。平たく言えば、「量子コンピュータが、既存のコンピュータよりもすぐれていることの証明」である。

Googleが実証したとの意見もあるが、量子コンピュータが既存のコンピュータよりもすぐれたものになるかどうかさえ議論になる段階なのである。

既存のコンピュータが苦手とする、膨大な計算量が必要な「組み合わせ問題」の代表例として、セールスマン巡回問題が良く取り上げられるが、量子コンピュータに向いているとされるこのような組み合わせ問題は、人類が必要な計算のごく一部にしか過ぎない。

 

そもそも多くの問題では、既存のコンピュータのほうがすぐれていると思われる。万が一、量子コンピュータが実現しても、大したことがないかもしれない。

もっと言えば、量子コンピュータの「高速計算」というのは、あくまで理論的な近似値がベースである。デジタルコンピュータのように、人間が検証できる疑いようがない正しい答えではなく、「理論的に正しい」と推計される値である。

現在のデジタルコンピュータでも、ディープ・ラーニングや「自己学習」が進化すると計算過程をすべて追跡するのが不可能になり、「結果を信じてよいのかどうか」という問題が生じてきている。

量子コンピュータにおいても、計算過程をすべて検証することはできず、我々が手に入れることができるのは「理論的に正しいはず」の答えである。

このようなことを考えると、量子コンピュータの開発そのものの意味さえ分からなくなってくる。

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