2019.10.25
# 量子コンピュータ

それでも量子コンピュータが本当に役に立つか疑わしいこれだけの理由

「画期的新技術」に踊らされるな
大原 浩 プロフィール

素晴らしい研究も実用化までに長い時間がかかる

既存のコンピュータの基礎となる、数学的な2進法を確立したのは17世紀のゴットフリート・ライプニッツで、“Explication de l’Arithmétique Binaire” という論文も発表している。

しかし、我々が現在使用している電子式コンピュータの基盤は、第2次世界大戦時ドイツ軍の暗号エニグマの解読に貢献したアラン・チューリングがつくったといえるであろう。チューリングは「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」(2014年)という映画の主人公にもなっている。

1950年代初頭には、ユニバック(ユニシス)やIBMが大型コンピュータを競って製造したが、現在のパソコン、モバイル全盛時代に突入するまでには半世紀程かかっている。

1950年代以前は、IBMが大きなシェアを占めていた「機械式コンピュータ」が主に使われていた。機械式コンピュータとは、自動織機で使うような穴の開いた紙を使って計算する方式で、計算ごとに別のパンチカードが必要なので、大量の計算(死亡率など)が必要な戦前の米国の保険会社では、巨大なビルの数フロアーをパンチカードの保管庫に使っていたほどである。

ちなみに、1950年代初頭にユニバック(ユニシス)やIBMが製造した大型コンピュータの計算能力は、現在の電卓以下であり、アポロ計画に使われた巨大なコンピュータも、能力の上では大差なかった。だから、宇宙船の軌道修正の計算に何時間も何日もかかったのである……。

現在我々が使用しているコンピュータの発展には、1947年の、ベル研究所の研究員たち(後にノーベル賞を受賞)により発見・発明されたトランジスタが、ソニー(東京通信工業)などの手によって普及することが欠かせなかった。

つまり、パンチカードや真空管式のコンピュータしか存在しなければ、現在のようなコンピュータ全盛時代はありえなかったといえる。

 

インターネットはローテクだから大ブレイクした

また、インターネットは、ローテクの塊だからこそ大発展したといえる。インターネットの通信技術に、これといって革命的なものは無い。革命的であったのは、「全世界をネットワークでつなぐ」ことと「どの回線が破損しても、迂回して通信を維持できる」ということである。

また、一般にインターネットが爆発的に普及したのは、1991年にWWW(ワールド・ワイド・ウェッブ)をCERN(欧州原子核研究機構)の研究員が創りだして以降のことである。

それまでのインターネットは、文字だけのパソコン通信の使い勝手を悪くしたようなもので、研究者(および米軍)以外にはほとんど誰も使っていなかった。

コンピュータの普及にトランジスタが欠かせなかったように、インターネットの普及にもWWWが欠かせなかったのだ。

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