全受賞者のたったの「3%」
20人。これは何の人数だろうか。
答えは、これまでに自然科学分野のノーベル賞を受賞した女性だ。物理学賞が3人、化学賞が5人、医学・生理学賞が12人。割合でいえば、全受賞者のわずか3%だ。
ノーベル賞というと、日本の大手メディアでは日本人受賞者の話が中心で、日本人以外の受賞者はあまり取り上げられない。物理学賞と化学賞で合わせて2回ノーベル賞を受賞したマリー・キュリーが有名なこともあり、女性受賞者はもっと多いイメージがあったかもしれない。
では今年(2019年)は何人の女性が受賞しただろうか。
0人だ。物理学賞、化学賞、医学・生理学賞でそれぞれ3人ずつ、合わせて9人の受賞者がすべて男性だった(経済学賞には女性受賞者がいる)。
それでも、今世紀になって女性受賞者の数は増加傾向にある。ノーベル賞が始まった1901年から2000年までの女性受賞者が11人なのに対して、2000年以降だけで9人も受賞しているのだ。
2018年には、ドナ・ストリックランド氏(物理学賞)とフランシス・アーノルド氏(化学賞)の2人の女性受賞者が誕生した。物理学賞を女性が受賞したのは実に55年ぶりだった。

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そういう流れがあっただけに、当然今年もと期待するものだが、ふたを開けてみれば0人である。
女性の地位向上を目的とする国際機関UNウィメンが作成した、119年分のノーベル賞各賞の全受賞者数と女性受賞者を表したインフォグラフィックスを見ると、女性受賞者の少なさがよくわかる。
UPDATE: Only one woman was awarded the @NobelPrize this year.
— UN Women (@UN_Women) 2019年10月14日
Over the years, out of a total of 935 #NobelPrize winners, only 53 were women.
We need #GenerationEquality to take action. pic.twitter.com/tpc3iDVPqJ
「女性科学者が少ない」では説明しきれない
ノーベル賞の受賞者に女性が圧倒的に少ない理由ですぐに思いつくのは、「自然科学分野にはこれまで女性が少なかったから」ということだ。
ノーベル賞は、受賞理由になる研究がおこなわれてから、受賞までに数十年のタイムラグがある。数十年前の自然科学分野には、今よりさらに女性が少なかったから、ノーベル賞受賞者も少ないのではないか。