「膜」が世界を救う! 植物の真似をして地球温暖化を逆転させる方法

CO2回収技術変革への道
清水 修, ブルーバックス編集部

いや、想像もつかないですけど。何千万トン(以下、t)とか、そういう単位ですよね(うーん、びっくりした……)。

「正解は約1~2テラt程度。つまり、1~2兆t程度です。

ピンと来ないですよね。これに加えて、いまもCO2が大気中に排出されています。その排出量は、日本だけで考えてみると2017年は約12億t。また日本人1人あたりの排出量は年間約9t。だいたい、1ヵ月にひとり1t近くのCO2を排出していることになります。

普通に生活しているだけで、ひとり月1t。これを大きく減らしていくのは大変なことなのですね。具体的にはCO2を捕まえて地下深くに注入、石灰岩として固定しておく『二酸化炭素回収貯蔵(以下、CCS:carbon dioxide capture and storage)』をやるべきなのですが、日本でCCSをやろうとすると電気代が現在の2倍くらいになってしまうのです。だから、日本ではまだ実現していません」

なるほど、コストの問題が大きいんですね。

「CO2削減のキーワードとして、『カーボンニュートラル』という言葉をご存知ですか」

カーボンニュートラル。日本語では「炭素中立」。環境の中において、CO2の排出と回収をプラスマイナスゼロ(=ニュートラル)にすること。

実は、このWPI拠点、WPI-I2CNERはその組織名にカーボンニュートラルという言葉が含まれていることでも分かる通り、「CO2の排出を減らすとともに、非化石エネルギーによる社会エネルギーシステムを構築するための基礎科学を創出すること」を目的に設立された研究所である。

九州大学アイスナー

具体的な研究分野としては、人工光合成による水素製造、水素貯蔵、耐水素材料、効率的で信頼性のある燃料電池、化学反応・触媒作用の「グリーン化」、CO2回収、CO2地中貯留、CO2の有用物質への効率的な変換など、サステイナブル(持続可能)な地球環境を実現するためのさまざまなエネルギー研究を重ねている。

藤川准教授はこの多様な研究分野の中で、主に「CO2回収」に関する研究を担っている。ちなみに、「エネルギー」をターゲットとしてこれほど多角的に研究をしている組織は日本でも数少なく、このWPI-I2CNERはきわめて斬新な研究所だということができる。

CO2を“膜”で捕まえる方法

「現在、CO2回収方法は3つあります。方法Aが『CO2を液体に溶かす(溶液吸収)』。方法Bが『CO2を固形吸着剤に吸わせる(固体吸着)』。方法Cが『フィルターで分離する(膜分離)』。

社会実装するためには方法C(膜分離)がコスト的にもっとも適しているのですが、現在は実用化に見合った膜が開発されていません」

だからこそ、世界中の研究者が「回収効率の良い膜」の研究にトライしている。藤川准教授もそのひとりというわけだ。

実用化に見合った膜がまだできていないとのことだが、実際に膜でCO2を分離するのはとても難しいことらしい。

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