美食の国と言われるフランスだが、外食費は日本より高くつく。
パリでランチを食べると15ユーロ(1890円)、その他の都市で12ユーロ(1510円)、マクドナルドのセットメニューでも8ユーロ(1000円)と日本の倍近くかかる。
一方、フランス人の平均月収は40万8000円(エデンレッドジャパン調査)、日本人の平均月収の37万1000円と比較すると、若干高いものの倍以上ではない。
いかに食べることにこだわりの高いとはいえ、2000円近いランチを迷うことがなく食べられる人は少数だろう。
フランス人がバランスの良い食事をお昼に食べることができるのには、理由がある。
一定の規模以上で社員食堂がない企業には、代替の食事補助制度が導入されているからだ。
食事券は紙タイプからはじまったが今では電子カードタイプもあり、テイクアウトの店も対象となる。
1960年代に登場し、1990年代からフランス企業で広く食事券が利用されるようになり、現在では給与に食事券がついてくるスタイルが主流となっている。
月額平均にすると1万4000円近くが従業員に補助される。
食事券や食事カードを配布することにより、会社側にも従業員側にもメリットがある。
従業員が企業から社員食堂、または食事券による食事補助を受ける際、従業員は企業から受け取る補助分が所得とみなされないので非課税になる。企業は社会保険料などを抑制できる。
背景としてフランスでは、一定規模以上の企業に対し、従業員に就業時の食事の提供が義務づけられていることがある。
食事補助は、雇用保険などの必ず実施しなければならない法定福利厚生になっている。
社員食堂の運営、オフィス周辺の飲食店を社員食堂代わりに利用可能にする食事券の支給、もしくは調理施設の提供、いずれかの対応が必要となる。