とある東戸塚の洋食店が「15年も愛され続けるワケ」

ロビンソン酒場を往く⑧
加藤 ジャンプ プロフィール

居酒屋のような居心地の良さ

くわえて、この店の特異なるところは、紛れもなく洋食の店でありながら、居酒屋の居心地の良さが、常に漂っていることである。
 
「居酒屋です、とは言ってないんですけど、皆さんから居酒屋と言われてます」
と店主の谷島さんは快活に笑ってみとめる。

そこで、店を見渡すと、あることに気づく。その造作は考えようによっては居酒屋なのである。店は奥に長いウナギの寝床型で、手前にテーブル席がいくつかと奥に厨房とそれを囲むL字の長いカウンターがある。つまりはカウンターと小上がりである。そして、カウンターがまた至妙な設えなのである。

 

カウンターには、バーのごとく洋酒のボトルが並んでいる。で、このカウンターに陣取ったとき、件の居酒屋のような居心地良さは最高値に到る。言い換えれば、この場所が、この店のなかで最も「和」を感じさせる。ちゃんと洋食の店なのに漂う「和」。

果たしてその「和」の出どころはどこかと思ったら、カウンターが檜で、宮大工が持っていた相当の樹齢の丸太から切り出した、一枚板で拵えたものなのである。

保守的な舌、つまりは醤油原理主義的な人も多い高齢層にとって(も近隣には多く住んでいる)、洋風の造りの店はそれだけで足が遠のきがちだ。

ビバーチェは、店のつくりは完全に洋のソレだが、なぜか落ち着くのは、この一枚板の檜の存在感も大きい。この檜のカウンターならば、老舗の洋食店の雰囲気と、割烹のそれとが、そこにいる人次第で楽しめるのである。