靴のサイズが「若い頃より大きくなったら」要注意

50歳で足形は急変する(後編)

アシックススポーツ工学研究所が著した『究極の歩き方』(講談社現代新書)は、日本人を中心に足形と歩き方を長年研究してきた同研究所が、約100万人の足形データをもとに、いつまでも健康に歩くための秘訣を披露した一冊です。データから見えてきたのは「50歳前後を境に日本人の歩き方、足形が激変している」ということ。若いころに比べて靴のサイズが大きくなったり、幅広の靴が足に合ってきたと感じている読者は多いことでしょう。今回はそのメカニズムと靴を選ぶ際の注意点を同書から一部公開、解説します。特に50歳前後で、足の変形、歩き方の変化を意識するかしないかで、歩行寿命が大きく変わるのです。(前回記事はこちら

なぜ足の幅が広くなるのか

はだしで背伸びをしてみてください。足の指のつけ根のあたりで、折れ曲がっているのがわかると思います。この関節のことを「MP関節」といい、靴選びの基準となる「足囲」は、この関節の周囲を測って得られます。

MP関節は、ちょうど横アーチのあるあたり。足の前方から見ると、横アーチは本来、「へ」の字状の形をしています。

しかし、長年、上から体重をかけ続けることで、横アーチはだんだん潰れてきます。「へ」の字がどんどん平らになって、当然、太くなります。これが、加齢とともに足の幅が広くなるおもなメカニズムです。

年代別に平均足囲を比較すると、50歳以上は50歳未満より、女性で5・6ミリ、男性で3・2ミリ増加します。

やはり女性のほうが加齢変化は大きいです。女性は骨格が華奢なため、そのぶんアーチも剛性が低く潰れやすいのです。

次に、足囲が大きく関係する靴のサイズを説明します。靴のサイズにはJIS規格があって、幅の狭いほうからA、B、C、D、E、2E、3E、4E、F、G(女性はFまで)とあります。足長と足囲をもとに決められています。

日本人男性の平均は2E、女性の平均はEですから、商品化されているのは、たいていEから4Eまでです。ごくごくまれにDという細いタイプや、Fという太いタイプを見かける程度です。こうしたなかで高齢者の女性は、3Eや4Eといった太めの靴を選ばれる方が多い傾向にあります。

30代と60代で、足囲サイズの構成比を見てみましょう。男性でも女性でも、60代のほうが太めのサイズが多いことは同じです。しかし、女性のほうがより太いサイズに移行していることがわかります(図6)。

次に、かかとの前傾角度に関して説明します。興味深いことに、加齢によるかかとの前方への傾きが、女性と男性では違うのです(図7)。

女性の場合、30代から下がり始めて、50歳を過ぎたところから顕著に前傾していく。50歳未満に比べて50 歳以上は1・7度ぐらい前傾します。一方、男性の場合はほとんど変化がなく、60歳以降にやや前傾する程度です。

かかとが前に倒れると、前足部に体重がよりかかるようになります。このため、横アーチにさらに体重がかかって、潰れていく。その結果、女性のほうが、足の幅が広くなることが多い、というメカニズムで考えています。