未婚の母も問題視…フィンランドの「強制不妊手術」知られざる実態

今も優生思想が見え隠れしている
岩竹 美加子 プロフィール

未婚の母も問題視されていた

フィンランドで、断種委員会が作られたのは1926年。断種法の制定は、1935年である。

断種法は次のように述べる。「低脳、精神薄弱、精神病を持つ者には、子孫への遺伝が懸念される場合、または自分の子どもの養育が不可能と思われる場合は、子孫を残せないよう命令を下すことができる」

さらに「法律が適用されるのは、14歳以下の知能しかない低脳、分裂病、双極性障害、または遺伝が証明された他の精神病を継続的、または断続的に病む者である。また、性犯罪者と不自然な性的指向の者にも適用される」

「不自然な性的指向の者」は、今で言うLGBT(セクシャルマイノリティ)を指す。
この法律には、解釈の余地が多分にあり、恣意的に使われることもあった。

 

実際に強制不妊手術をされたのは、障がい者、精神病患者、てんかん症、ろう者、性犯罪者、貧民、未婚の母、ジプシーなど多様な人たちである。フィンランドでは、他の北欧諸国に比べると先住民であるサーミの強制断種は少なく、数人にとどまったという。

未婚の母も問題視されていた。

ある19歳の女性について、1949年に書かれた診断書には、学習障害、退学、未成年で2度出産、仕事能力の欠如が挙げられていた。最初の妊娠は、16歳の時である。未婚の母は、道徳的に問題である上、仕事を得られなくなるため、公的な経済援助が必要になる。それが厭われた。妊娠中の場合は、人工妊娠中絶されることもあった。