13歳女優の官能シーンに批判殺到、上映中止に。女性監督が振り返る

まるで「あいトリ」…問題の本質とは
此花 わか プロフィール

14歳で第三夫人になった曾祖母

――本作に登場する女性たちは監督のご家族がモデルになっているそうですね。

メイフェア監督:はい、本作に登場する年配の女性はみな私の家族がモデルです。90歳を過ぎても元気だった曾祖母と祖母と一緒に同居して、女性ばかりの家庭で育ちましたが、主人公のメイは14歳で結婚した曾祖母がモデルですし、ほかの年配の女性たちも、私の家族やナニー(乳母)を元に作られたキャラクターです。19世紀から20世紀初頭までベトナムでは一夫多妻制は合法で、富裕層の男性は何人もの妻を娶るのが普通だったので、曽祖父には複数の妻がいて、曾祖母は第一夫人ではありませんでした。

『第三夫人と髪飾り』より

――監督のご家族を元にしたとはいえ、19世紀のベトナムの生活を知る上でどんなリサーチをされたのでしょうか?

メイフェア監督:脚本は3年ほどかけて書きましたが、撮影前の4ヶ月間は映画の舞台となった北ベトナムの田舎で生活して、地元の慣習を脚本に取り入れました。例えば、初夜や出産のシーンにも反映されています。

 

昔の女性たちに“被害者”という意識はなかった

――初夜の儀式にはあるアイテムが使われていますが、どのような意味があるのでしょう?(詳しくは映画を参照)

メイフェア監督:あれには“多産”の願いが込められています。あのシーンで空に輝く月を映したのも、当時の人々が妻に期待する“息子を出産”することを象徴したかったから。

そして、衣装も地元の村で作られているオーガニックのシルクを使っています。村の養蚕農家を取材したときに、卵から幼虫になり、繭から蛹(さなぎ)を経て蛾になるまでの蚕の成長が“女性の一生”を象徴するようにも思えて、メイの嫁ぎ先を養蚕業を営む家族という設定にしました。

『第三夫人と髪飾り』より

――一夫多妻制や、息子を産むことだけが妻の役割だとされていた男尊女卑社会のなかでも、女性が “一方的な被害者”のように描かれていないことが印象的でした。

メイフェア監督:曾祖母や祖母の話では、あの時代の多くの女性は、自分たちを男尊女卑社会における“被害者”や“弱者”と捉えていたわけではなかったんです。それどころか、第一夫人は家族に貢献しようと、第ニ、第三夫人を自分で選んでいました

女性も男性もそれぞれに“自分たちの役割”を全うしようとしていたんですよね。あの時代は、“女性らしく”いるには自分のアイデンティティやセクシュアリティよりも、“女性として社会的な役割を果たす”という意味がありました。それは男性も同じで、個よりも家族や社会が優先されていたんです。