ずっと消化試合でいいのか

えりさんへの態度が他人行儀なことを除いては、日常生活に問題はなかった。喧嘩もしない。子どもはすくすくと育っていく。とりあえず家庭の中は平和だった。
「このまま息子が18歳になるくらいまで仮面夫婦をやって、そうしたら離婚かな、とぼんやり考えていたんです。でも、息子が3歳を過ぎたあたりから、なんかもう限界だな、って。とにかくセックスレスであることが惨めでした」

ママ友との会話のなかで、夫の悪口を言い合うことはよくある。それはほとんどノロケに近いものだ。「帰りが遅い」「家のこと何にもしない」「足が臭い」……。

「そんなことくらい別にいいじゃない! って思いますよね。『うちはずっとご無沙汰』とか言っていた友だちに2人目ができたと報告されたたときは、なんだ、してるんじゃん、って……」

ママ友の会話も辛くなっていく(写真と本文とは関係がありません) Photo by iStock

セックスレスの悩みは、友だちにも親にも話しにくい。誰にも言えないまま、えりさんはどんどん気持ちが塞いでいった。

誰かにすがりたい、愛されたい。実は、「出会い系」というワードが心をよぎったこともある。でも、婚外恋愛など恐ろしくてできない。

「そんなとき、ある女性のブログに出会ったんです。女性もセックスに貪欲になっていい、というようなことが書いてあって、この人と話がしたい! と、思い切ってダイレクトメッセージを送りました。とにかく一度、電話で話しましょうと言ってくれました」

彼女はえりさんに「たった一度の人生、まだ40歳にもならないのにこの先ずっと消化試合でいいのか。もっと自分を大事にしていいんですよ」と言った。えりさんは、本当にそうだと受け止めた。それ以来、えりさんは離婚を真剣に考え始めた。