サステナブルライフにつながる日本の活動を紹介するこの連載。今回は愛媛県今治で、使う人や作る人、環境に気を配りながら真摯にタオル作りを究めている〈藤高〉を紹介します。

すべての工程に責任を持ち
タオル作りを究めていく

フルカラーの先染めジャカードのパイル織物を初めて実現するなど、「技術の藤高」と呼ばれるには理由がある。

タオルのような日常生活に必須のものこそ、納得して使えるものを選びたい。使い心地はもちろんだけど、作られた背景まで知って選ぶことができたら、使うたびに気持ちがいいだろう。上質なタオルの代名詞でもある今治タオルだが、その今治で現存する最古のタオルメーカーが1919年創業の藤高。今治ブランドの確立に尽力したメーカーであるが、分業制が一般的な今治において、藤高は糸のチョイスから染色、織り、販売まですべてを自社で一貫して手がけている。それは藤高の自信とプライドを支えている。

排液を接触酸化法という、バクテリアに汚濁物質を吸着させ、酸化分解していくというメカニズムで浄化。

そもそもタオルを作るのには、膨大な水を必要とする。今治がタオルの生産地になっているのは日本名水百選に選ばれた、石鎚山系の伏流水という良質な水が潤沢にあるからだ。藤高は「タオルは毎日、肌に触れるものだからこそ、安心して使えるものを」との思いから、その水をさらに飲料可能なレベルにまで殺菌・濾過・軟水化してから使用している。また、海を汚さないために、染色の排液はきちんと浄化してから排出する。

技術を向上させることで、例えば、育児中の女性の働く時間を短縮できるようになるなど、働く環境も改善できる。社員寮を整備し、県外から就職した社員たちが負担なく暮らせるような環境も整えていきたいという。

「現在でも国が定めているレベルには十分に達しているのですが、今後は新しい装置を導入して、環境への負荷量を半減させる予定です」と社長の藤高 亮さん。また、タオルは糸の漂白や染色、脱水乾燥、輸送などの製造過程で、CO2を多く排出する。それを少しでも減らそうと、染色加工のエネルギーも重油からガスに変えた。「国内のタオル生産売上高No.1のわが社は工場の規模が大きい。その分、大変ではありましたが、CO2排出量が20%下がりました。削減できた分は、J-クレジット制度を活用して投資費用を回収しています」

フルカラーの先染めジャカードのパイル織物を初めて実現するなど、「技術の藤高」と呼ばれるには理由がある。

糸は、吸水性や耐久性などをクリアしつつ、コスト面で納得できる糸を、世界中から探して使用している。なかでも力を入れているのは、インドの紡績工場と共同で開発したオリジナルの糸だ。なるべく農薬や化学肥料を使わずに育てられた綿の実を、傷めないように手摘みしてから紡いでいる。「この紡績工場は、女性に教育を受けさせたり、児童就労を禁止したりと、しっかりとした考えを持って運営しています。インドでリーダーシップを持つ大きな規模の会社だからこそ、地元への影響力も大きい」。糸を織る前に使うのりはできるだけ、とうもろこし由来の飲食可能なでんぷんのりを使っている。

新商品の開発にも余念がない。速乾や抗菌、防臭といった機能性のあるタオルや、洗濯耐久性に優れたタオルなど、他社には真似ができない技術力を駆使して“タオルを究める”ことをコンセプトとしている。今、人気があるのは、ふんわりと柔らかなタオル。だが柔らかさを追求すると、一般的には毛羽落ちが多く、経年劣化が早くなってしまいがち。そこで藤高は、2本の糸を縒り合わせた“双糸”に工夫を加えることで、柔らかさと耐久性を両立した。

最近、SDGsという言葉を初めて聞き、セミナーに参加してみたそうだ。「メーカーがサステナブルにやっていくには、と考えてみたら、実は既に取り組んでいることが多かったんです」。地元に根付いて長く愛されてきた会社には、誠意がある。それこそが自然にサステナブルな事業とつながっていくのだと気付かされた。

FUJITAKA TOWEL GINZA
東京都中央区銀座7-12-1 藤高ビル1F
☎03-6226-6050
営業時間:11:00~20:00
定休日:年末年始
www.fujitakatowel.jp

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Photo:Koichi Tanoue Text:Shiori Fujii