中国の爆速成長が変えた「経済のルール」と、取り残された日本企業

「垂直統合」に固執すれば失血死が待つ
野口 悠紀雄 プロフィール

賃金が上昇すると「中国の時代」は終わるのか?

こうした状況は、その後、徐々に変わってきた。

中国の製造業の平均賃金上昇率を見ると、2004年以降08年までの期間に、12.5%、11.8%、14.4%、16.0%、15.4%という高さだ。

内陸部でも、水準は沿海部より低いが、賃金上昇率は沿海部を超えた。

これは、中国経済が「ルイスの転換点」(工業化の進展によって、農業部門の余剰労働力が底をついた状態)を迎えたために起きた現象だと言われた。

 

09年夏以降、農民工(出稼ぎ労働者)を募集してもなかなか集まらない「民工荒」(労働者不足)現象が生じていると言われた。この背景には、工業化の進展だけでなく、1人っ子政策のために高齢化と少子化が深刻な問題になったという事情もあった。

こうした状況が続くと、中国生産の有利性は終わりになるので、賃金がもっと低い他のアジア諸国に生産拠点を移すべきだとの指摘もなされた。「これからはインドやベトナムやミャンマーの時代だ」という意見だ。

関連記事