すでに乳房再建している人も慌てないで!
また今回、すでに乳房再建している人のリンパ腫のリスクの問題もある。
「時限爆弾を抱えているようだ」「胸が張るがこれはリンパ腫ではないか」という不安や動揺の声は私のところにも届いている。乳がんに加えて、別の種類のがんができるかもしれないという恐怖は計り知れない。
ただ、そもそも発症リスクが低いということをまず知ってほしい。また、何も症状がないのに再建したインプラントを抜去する必要はないという。初期症状としては、急に乳房が膨らむ、腫瘤、赤み、痛みがあらわれる。これらの症状がしばらく続いたときは受診する。そして何より、再建後1年に一度定期健診を受けることで、万が一発症しても早期ならインプラントとその周りの被膜を抜去することで命にかかわることがないと専門医は伝えている。発症はインプラントを挿入してから9年前後であることも覚えておくといいだろう。
私自身、前にも述べたが2005年に右乳房の手術と同時にインプラント再建をし、8年後に皮膜拘縮を起こし入れ替え手術をした。そのため、今回指摘されているインプラントが体内に入っているが、上記のことが分かっているので心配していない。ただひとつ、反省すべきは、入れ替え手術をしたクリニックの院長から、年に一回必ず受診するように言われていたのに、つい先延ばしして一度も行っていないこと(先生、ごめんなさい!)だ。これを機に、きちんと定期健診に伺うことを心に誓った。
新たな承認を受け、オンコプラスティックサージャリー学会では、10月11日の学会中、朝戸裕貴理事長による患者への説明会も開かれた。それによると、今回承認された製品は、スムースタイプだが、欧米には、ツルツルとザラザラの間の、“マイクロテクスチャード”というタイプがあり、リンパ腫の発生の報告が少ないことから、今後はこのタイプも含め、複数のメーカーの製品を日本で使えるようにしていきたい、ということだ。
真水さんも、「今回の早期の薬事承認は大きな1歩。ただ、これにとどまることなく、新たな製品の保険適用を増やし、再建を希望する患者の選択肢を増やしていただけるよう、今後も見守っていきたい」と語る。
乳房再建の選択肢がある、これはとても大事なこと
乳房を再建するかしないかはまったく個人の自由で、以前本サイトで取材した27歳の矢方美紀さんは、これがありのままの自分だから再建はしないときっぱり言った。
44歳で乳がんがわかった私は、絶対に再建したいと思い、皮膜拘縮になったときも迷わず入れ替えた。それが私にとってベストな選択だった。でも、もしまた何か不具合が起きたら、つぎは再建はせずぺちゃんこな胸で生きようと今のところ思っている。人の価値基準はそれぞれで、時間を経ても変わるものだ。
いずれにしても乳房再建を望む人にとって、再建は希望の星であることに間違いないと思う。今後さらに、その人らしい再建ができるようバリエーションが広がることを願うし、多少の時間はかかってもそうなっていくと信じている。