患者たちの想いに厚生労働省が動いた!

そんな混沌とした状態がしばらく続くと思っていた矢先、10月8日に動きがあった。異例の速さで回収品の代替製品として、アラガン社の別の種類のインプラントとエキスパンダーの保険承認が下りたのだ。どちらも米国FDAの承認製品で、スムースタイプなのでリンパ腫のリスクは極めて低い。以前のスムースタイプより性能がよいとのことだが、インプラントはラウンド型で皮膜拘縮のリスクや形の問題は少しは改善できているのだろうか。実際に使ってみてというところだろうか。それでも、インプラント乳房再建は再開できることとなったのだ。

最短で4ヵ月かかると言われる保険承認がおよそ1ヵ月で承認されるという今回の異例速さになったのは、オンコプラスティックサージャリー学会をはじめとする関連4学会の働きかけはもちろん、がん患者団体が厚労省に手渡した要望書にある。

要望書を出した『NPO法人エンパワリング ブレストキャンサー(E-BeC)』代表の真水美佳さんはこう思いを語る。

「乳房再建はそれを望む人にとって、乳がん治療を前向きに受ける大きなモチベーションとなっている。とくに時間的、身体的に負担の少ないインプラントによる再建の保険適用は乳がん患者の永年の夢でした。

今回、日本で唯一保険適用となっているアラガン社の突然のリコールは、代替製品もない中であってはならないこと。インプラントで再建した人、エキスパンダー挿入中の人、乳がんと宣告されたばかりの人たちに混乱が広がっており、一刻も早くこの状況を脱してほしい。その人たちに時間はありません。一刻も早い対策を表明していただきたい。そのためには当事者である患者が自ら声をあげなければならないという思いから要望書を提出しました」