乳房再建を「希望の光」と感じる人は多い

「乳房再建なんて命にかかわらないから、後回しでいいんじゃない」と思う人もいると思う。確かに、再建はがんの治療ではないし、再建をしない選択をする人もたくさんいる。ただ、失った乳房を再建で取り戻したいと願う人とっては、絶望のなかの希望の光なのだ。

それは、2005年に乳がんが発覚し、右乳房を全摘出し乳房再建した私自身もそうだった。がん告知を受けて間もない状況で、病気もまだ受け入れられず、死の恐怖や治療の選択、仕事や家庭、生活の不安などが重なり、平常心ではいられない日々が続いていった。そんな折れそうな心を踏ん張らせるための目標に、“乳房を取り戻す”ことを置いた。私と同じように、再建を治療中の心の支えにしている人は少なくない。それがとん挫することは、想像をはるかに超えた心の負担になるのだ。

乳房再建を支えに、不安になる治療を乗り越えている人も少なくない。photo/iStock

インプラント再建が当面できなくなるという報道の2日後、某病院内で月に一度開催している『乳房再建セミナー』があった。私はそこで患者ファシリテーターとして参加しているのだが、当然のことながら、いつもとはまったく違う重苦しい雰囲気に包まれていた。医師や看護師が今回の事態の解説と、今現在できること、できないことを具体的に説明した。聞いている参加者のなかには涙をためる人が少なからずいたが、最後は現状を理解し、少し落ち着きを取り戻したよう見えた。

医療者の、現時点の正しい情報の提供をしようという姿勢と、関連学会や厚労省も対策に乗り出していることが伝わり、「運が悪いと思うが、今は事態を受け入れようと思う」と言っていた方もいた。バッドニュースのときこそ、正しい情報と、状況を変えようと必死で動いている人たちの存在を伝えることは、現実を受け止めるために大切ことなのだと感じた。