10月は「乳がんの早期発見・早期治療」を啓発する『ピンクリボン』月間だ。各地で啓発イベントなどが行われている。一生のうち乳がんにかかる人は、11人に1人と高い割合だ。私は関係ない、大丈夫とは言い切れない疾患といってもいいだろう。

そんな身近な存在でもある乳がんで、この夏、気になるニュースが持ち上がった。乳がん罹患者の多くが検討する乳房再建でリコール問題が起きてしまったのだ。一体どんな問題が発生したのか、自らも乳がんサバイバーで、乳房再建をし、がんの取材も多く手がける美容ジャーナリストの山崎多賀子さんに、問題と現状をレポートしてもらった。

乳房再建ができない!? インプラントにリコールが!

2019年7月25日、乳がん診療の医療現場と乳がん患者の間に激震が走った。日本で唯一、保険承認を受けている乳房インプラント(人工乳房)と、ティッシュ・エキスパンダー(インプラントを入れる前に皮膚などを広げてインプラントのスペースを確保するための拡張器)が、“世界中で自主回収される”との一報が入ったからだ。これは、乳がんで乳房を全摘出した人たちは、保険の効くインプラント再建が実質上できなくなることを意味していた

乳がんで乳房を失った人が行うインプラントによる乳房再建は、片側60~100万円もしていた。保険適用は、乳房を失った多くの患者の悲願で、患者の署名運動と関連学会の努力により2013年に厚労省から承認されたという経緯がある。あれからまだ6年しかたっていないに……! 青天の霹靂としか言いようがなかった。

世界では様々な乳房インプラントがあるが、日本では保険適応されている種類が少ない。photo/iStock