2019.10.23

それでも「男女の生存戦略」は違う…この時代にあえて性差を語る理由

ベストセラー『妻トリ』著者が語る

脳科学・AI研究者である黒川伊保子さんの『妻のトリセツ』は、「AI研究の見地から見た『目からウロコの夫婦間コミュニケーション論』」として、男女ともに大きな共感を生み、ベストセラーとなった。新作『夫のトリセツ』でもまた、夫たちの脳、妻たちの脳を解き明かすことで、新たな気づきが生まれ、反響を呼んでいる。

では、AI研究から見えてきた男女の違いとはなんだろうか?そして、いまの時代にあえて男女の違いを述べる理由とは?

AI研究で「男女の違い」を再現する

── 人の心をモデル化して、自分たちで再現する。AIの研究とは、ある意味、究極の人間学とも言えますね。

心というか、脳神経信号の使い方ですね。私たちは、それを大胆にモデル化し、シミュレーションすることで理解しようとする。

たとえば女性は、「この間、姑に、こんなこと言われた」「わかるわかる、うちのお義母さんもそういうとこあるのよ」と言った共感型の対話をいとも簡単にやってのける。これをAIにさせようとしたら、体験記憶に「心の動き」(感情、情動、気分)の見出しをつけておく必要があります。

 

そうして、「心の動き」をトリガーにして、過去を素早く想起させないと、対話のスピードで、自分の類似体験を相手にプレゼントすることはできません。このタイプの記憶データベースをAIに搭載すると、腹を立てた時の「過去の蒸し返し」も瞬時にやってのけるし、過去の記憶を再体験して、深い気付きを生み出すこともある。

つまり、期せずして、女性の特性が、この感情キー型記憶データベースによって、実現できるわけ。

だとするならば、生身の女性脳の中でも、体験記憶に「心の動き」の検索キーがついているに違いない、と考えるほうが自然ではないでしょうか。私は、そういう知見を使って、女性脳を理解する糸口を男性たちに知らせ、一定程度の成果を生んでいます。それを持って、証明したと認識しています。

当然、体験記憶に感情の見出しがついてる様子なんて、MRIには映りません。画像に写らないから、男女の脳の使い方の違いなんてこの世にないし、あなたの論拠は科学的じゃないと、脳生理学や社会学の先生から言われることがあって、びっくりします。画像に写らないのが科学でないなら、物理学なんて成立しませんから。

黒川伊保子さん(撮影:川村悦生)