先輩たちの凄さは、
才能以上に“百戦錬磨であること”

稽古が佳境に入る中で行われたインタビューで、福田さんの尊敬する点を聞くと、「いい作品を作る、その一点に対してものすごく厳しいところ。楽しさよりも厳しさが一番。だから、僕にとってはとても怖い演出家です」と答えていた。

「初舞台から見ていただいていて、福田さんの『コメディを極めてみたら?』という一言のお陰で、コメディだけじゃなく、芝居そのものに、“受け身”ではなく、“攻め”の姿勢を取れるようになったので、誰よりも自分が成長したところを見せなきゃという意識があります。それに、コメディに対する愛と厳しさではまだまだ全然歯が立たない。こっちが油断しているとすぐ見抜かれる。だから、いくつになっても舞台はやっぱり修行なんです。

どんなに稽古を積んでも、本番では、絶対につらい思いや悔しい思いをするし、失敗だってある。でも、日によってお客さんのリアクションが違うので、日々成長できる感じがあります。それに、今回のように、主演のムロさんはもちろん、堤(真一)さんや(高橋)克実さん、浅野(和之)さんのような先輩たちとの座組では、毎日が盗みたいことだらけ(笑)! 先輩たちの凄さは、才能以上に“百戦錬磨”であることからもきていると思う。だから、僕自身、どんどん舞台の現場で鍛えられたいんです」

約1ヶ月に渡る上演の最中、WOWOWでは、ドラマ『アフロ田中』で主演を演じ、8月には声優を務めた『ライオン・キング』が上映され、「ミュージックステーション」では歌も披露した。10月からは、『ニッポンノワールー刑事Yの反乱ー』(日本テレビ系)で、主役の刑事・遊佐清春を演じている。

「ノワール」とは、フランス語で“黒”を意味し、人間の暗部や犯罪、暴力をテーマにした映画やドラマを指すが、賀来さん演じる遊佐刑事とその周囲の人間関係には、張り詰めた緊張感の中、一抹の“笑い”が潜むところに新しさが感じられた。プロモーションのために、バラエティにも数多く出演していたけれど、その言動の端々から、日常をちゃんと生きていることが伝わる。

おそらく彼の“エピソードの豊富さ”は、進もうが、悩もうが、ちゃんと自分の目で見て、ちゃんと観察して、ちゃんと傷ついて、ちゃんと考えて、ちゃんと笑って。つまり“ちゃんと日常を生きている”ことから来ているのではないだろうか。大人になると忙しさにかまけて、つい、一途さや純粋さを手放しがちになるけれど、「面白い奴が一番強い」と信じ込んでいた少年は、そのまま「面白い奴が一番強い」世界に飛び込み、だから、自分をもっと面白くしようともがく。

撮影/山本倫子

PROFILE

かく・けんと 1989年生まれ。東京都出身。2007年俳優デビュー。14年連続テレビ小説『花子とアン』、18年主演ドラマ『今日から俺は!!』など。現在公開中の映画『最高の人生の見つけ方』に出演中。主演ドラマ『ニッポンノワールー刑事Yの反乱ー』(日本テレビ系 毎週日曜夜10:30〜)が放送中。今年の4月から、TOKYO FM系「SUZUKI KENTO’S CLUB」でラジオパーソナリティーも務める。映画『AI崩壊』は来年1月公開。主役を演じた大ヒットドラマ『今日から俺は!!』の映画化も決定している。

ヘアメイク SHUTARO(Vitamins)スタイリスト 小林新(UM)