芝居の基礎とか反射神経みたいなものは、
舞台で身に付けたい

「舞台は、できれば、年に1本ぐらいのペースでやっていきたいです。自分ではない誰かを演じる、その“地の力”を鍛えてくれるのは絶対的に舞台だと思います。毎回毎回キツイし、精神的にも肉体的にもエネルギーを消耗しますけど、千秋楽を迎えた時は、必ず『やってよかったな』と思える。日によってもお客さんの反応が違ったりして、自分自身のコンディションの変化にも気づかされるし、本当に、日々発見があります。

スポーツ選手にとっての筋トレとかストレッチみたいなもので、コツコツ続けない身につかない基礎とか反射神経みたいなものが、芝居でならちゃんとつくんじゃないかと思えたんです」

撮影/山本倫子

今年7月、福田さんが上演台本・演出を手がける舞台『恋のヴェネチア狂騒曲』に出演した。原作は、18世紀のイタリアで活躍したカルロ・ゴルドーニの『2人の主人に仕えた召使い』。ゴルドーニは、イタリア近代演劇の父と称される喜劇作家だ。2年前のこと。全幅の信頼を寄せる福田さんから、「ムロ(ツヨシ)くんが座長をする舞台があるから、(神輿を)担いでくれないか」と言われ、「もちろんやります!」と答えた。

「22歳で僕が初舞台を踏んだのが、福田さんが脚本・演出を手がけた『スマートモテリーマン講座Vol.2』でした。その翌年にも、福田さんが企画・脚本・演出を担当した『モンティ・パイソンのSPAMALOT』に出演させていただいて、その2作で、舞台を主戦場とする先輩たちの面白さや、笑いへの貪欲さに打ちのめされたんです。若さゆえの無謀さで、こっちは、対等にぶつかってもイケるんじゃないかと思っても、全然歯が立たなかった(笑)。

先輩たちがドカンドカンと笑いをとっていく中、自分が全くウケないことがショックで。そのたびに、先輩たちからアドバイスをいただいて……。特に、劇団☆新感線の『五右衛門vs轟天』(15年)という舞台では、全部で80ステージもある中で、古田新太さんと、池田成志さんがそれぞれアドバイスをくださったんです。古田さんは、『今の間を半間詰めろ』とかすごく細かいテクニック指導で、言う通りにするとちゃんとウケる。成志さんのアドバイスは、その通りにやってものすごくウケるときと、まったくウケないときの差が激しくて。諸刃の剣でした(笑)。でも、そうやって現場で鍛えられたことが、自分の中ですごく力になったと思います」

とはいえ、当時はまだ俳優としては燻っていた時期。「周囲の邪魔にならないように、失敗しないように」と自分の芝居にブレーキをかけがちだった。