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初刊から50年…五木寛之『青春の門』シリーズ最新作がついに出た

「漂流篇」の読みどころを著者に聞く

奇跡のよう

―『青春の門』第九部の連載が23年ぶりに再開されたのは'17年でした。その連載が、'69年の第一部(筑豊篇)連載開始からちょうど50年の今年、単行本となりました。

我ながらよくここまで続いてきたと思います。最近は若い人から「(『青春の門』が)父の本棚にありました」と言われることがあります(笑)。長年の読者の方からは「あの人はどうしていますか?」と、登場人物の消息を聞かれることもしばしばです。

続きを期待してもらっていること、それが有り難いですね。私にしてみれば、こうして半世紀が過ぎたことが奇跡のよう。よくぞここまで来たな、と感慨深いです。

 

もともと『青春の門』に大きな目標はなかったんです。筑豊を舞台にした青春小説なので「筑豊篇」となりましたが、それだけでまとまりのある物語として読めるようにと考えていました。ただ、すぐに編集部から連載続行の話があり、吉川英治文学賞もいただくことになったのです。

それに当時は、若い人がこぞって大長編小説を読んでいた時代でした。『ジャン・クリストフ』『チボー家の人々』『失われた時を求めて』……。自分もいつか長い小説を書いてみたいという希望はどこかにありました。

それが『青春の門』で現実となるとは思いもよらないことでしたね。これは書き手だけでなく、掲載するメディア、読み続けてくれる読者、三者の気持ちが重なった結果なのだと思っています。