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タコ「驚きの潜在能力」~パズルを解き、人間の顔も見分ける

優しくしたほうが良さそうです

ビンのフタも開けられる

韓国の珍味「サンナクチ」をご存知だろうか。「生きたタコの踊り食い」とも呼ばれ、くねくねと動く一口サイズのタコの足をそのまま頂く料理だ。足が、別の足をつまみあげることもあり、その絡み合いはなかなかショッキングな光景だ。

しかしなぜ、タコの足は、体と切り離しても、動くことが可能なのか。

実は、タコの足一本一本には、それぞれ「小さな脳」がついている。

タコは頭から足にかけて全体的に連鎖状の神経細胞をもち、大脳はこれらの「小さな脳」すべてと繋がっている。つまり、タコの神経系は、人間のような単一の指令センターをもつのではなく、インターネットのような構造をしているため、広範囲で局所的に制御を行うことが可能なのだ。

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タコの足の2000個近い吸盤の一つ一つには、50万個のニューロンから成る神経細胞が備わっている。神経細胞の3分の2が、頭ではなく足に存在しており、その合計数は、犬の神経細胞の総数とほぼ同じだという。

神経細胞の詰まった吸盤を多く持つからこそ、切断されても、その足は自力で這い回り、ものを掴み上げることができる。

 

このように、それぞれに小さな脳が備わった8本の足をもつタコは、クモやイカなどの無脊椎動物の中で、最も賢いとされている。簡単な迷路パズルを解くことができる上に、ビンの中に閉じ込めても、容易くフタを開け、逃げ出してしまう。

それだけでなく、タコは人間の顔を見分けることもできるという。

全く同じ青い服を着た二人の人間が、タコの識別能力を試す実験を行った。一人は一貫して餌を与え続け、もう一人は棒の先についた剛毛でタコをつついた。タコは数日で両者を見分けられるようになり、剛毛でつついてきた嫌いな人間を目にした途端、隅のほうに身を縮め、排泄器官から水を噴射して威嚇した。

こういった人間の顔を見分ける事例は、イカなどには見られない。

顔を覚えられて、復讐されないよう、タコには優しく接したほうが良さそうだ。(細)

『週刊現代』2019年10月26日号より