働く妻と専業主婦の「幸福度格差」が示す、日本社会の厳しい現実

「子ども」の存在がカギになる
佐藤 一磨 プロフィール

なお、働く妻の就業形態の違いや子どもの数の違いを考慮した分析も行ったが、その分析結果は次の3点にまとめられる。

(1)働く妻の場合、最も幸福度が高かったのは、子どものいない正社員であった。

(2)働く妻の場合、子どもがいると、正社員・非正社員・自営業というふうに就業形態が違っても、幸福度に大きな差は見られない。

(3)子どもの数が多いほど、働く妻も専業主婦も幸福度が低下する。

 

子どもは妻の幸福度にどんな影響を及ぼす?

子どもが既婚女性の幸福度を低下させているといった結果は、ややショッキングかもしれない。しかし、国内外の学術的な研究を見ると、同じ結果を得ている研究が多い。例えば、本稿と同じデータを使用した明海大学の萩原里紗講師の分析によれば、第1子出産直後に女性の幸福度が持続的に低下することがわかっている2

また、ミラノ・ビコッカ大学のスタンカ教授の世界94ヵ国の世界価値観調査を用いた研究でも、子どもが親の幸福度を低下させることを指摘している3。ただし、スタンカ教授の研究によれば、幸福度の低下の主な原因は金銭的負担によるものであり、非金銭的な面では子どもの存在によって満足感が高まることを明らかにしている。

子どもが幸福度の上昇につながらなかった場合、さらなる出産が抑制される恐れがある。この点について、ウェスタン・オンタリオ大学のマルゴリス教授とマックスプランク研究所のミルスキー氏のドイツのデータを用いた研究によると、第1子出産後の生活満足度が大きく低下するほど、第2子を出産しにくくなることがわかっている4

この傾向は本稿のデータでも同じく確認することができる。日本では、出産後の女性の幸福度の低下がその後の出産を抑制し、少子化の一因となっている可能性があると言えるだろう。

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