働く妻と専業主婦の「幸福度格差」が示す、日本社会の厳しい現実

「子ども」の存在がカギになる
佐藤 一磨 プロフィール

統計的な手法を用い、さまざまな個人属性の影響を除去した結果、幸福度の大小関係は以下のとおりとなった。

子どもがいない専業主婦>子どもがいない働く妻>子どもがいる専業主婦>子どもがいる働く妻

この結果には興味深い点が3つある。

1つ目は、子どもがいない専業主婦の幸福度が最も高い反面、子どもがいる働く妻の幸福度が最も低くなっている点だ。子どもがいない専業主婦の場合、育児負担がないため、幸福度が高くなっていると考えられる。これに対して、子どもがいる働く妻の場合、仕事を抱えているうえに、家事・育児負担を一手に担うため、幸福度が相対的に低くなっていると考えられる。

〔PHOTO〕iStock
 

2つ目は、子どもがいない働く妻の方が子どもがいる専業主婦よりも幸福度が高くなっている点だ。子どもの有無を考慮しない場合、専業主婦の方が働く妻よりも幸せだとしか判断できなかったわけだが、子どもの有無を考慮すると、幸福度の大小関係が変化する。働く妻の方が専業主婦よりも幸せとなる場合があるのだ。

3つ目は、子どもの有無によって幸福度が大きく影響を受けている点だ。分析結果から明らかなとおり、子どもがいる既婚女性ほど、幸福度が相対的に低くなっている。つまり、子どもの存在が幸福度を押し下げている可能性があるのだ。おそらくこれは、子育ての負担が女性に集中し、その負担が子どもを持つことの幸せを上回ってしまうためだと考えられる。

この点に関連して、分析に用いたデータから、子どもがいる世帯の夫婦の家事・育児時間の比率(妻の家事・育児時間÷夫の家事・育児時間)を計算すると、平日では専業主婦世帯で15.7倍、働く妻の世帯では6.8倍であった。休日になるとこの比率は低下し、専業主婦世帯で2.6倍、働く妻の世帯では2.8倍となる。

これらの結果から、日本では圧倒的に女性に家事・育児負担が偏っていると言える。このような状況下では、子育ての負担感が重くなりすぎてしまい、幸福度を押し下げてしまうのも無理はないのかもしれない。

編集部からのお知らせ!

関連記事