働く妻と専業主婦の「幸福度格差」が示す、日本社会の厳しい現実

「子ども」の存在がカギになる
佐藤 一磨 プロフィール

この疑問の答えを、日本の女性の幸福度を20年近くにわたって継続調査した慶應義塾大学パネルデータ設計・解析センターの『消費生活に関するパネル調査』を用いて探っていきたい1

 

なお、ここでの幸福度とは、「あなたは幸せだと思っていますか。それとも、不幸だと思っていますか。」といった質問に「5=とても幸せ」から「1=とても不幸」の5段階で回答した結果をさす。この質問・回答方法は、学術的にその妥当性が明らかにされており、世界のさまざまな学術研究で用いられている。

さて、実際に働く妻と専業主婦を比較すると、幸福度の大小関係は以下のとおりとなった。

専業主婦>働く妻

専業主婦の方が働く妻よりも幸福度が高いのだ。専業主婦は夫の所得水準の高い世帯で多くみられるため、夫の所得の影響を考慮することが重要となるが、この点を考慮しても結果は変わらない。つまり、夫の所得が同じであっても、働く妻の方が専業主婦よりも幸福度が低くなっているのだ。

この結果から、現在の社会制度をそのままに、既婚女性の中で、働く女性の比率が増えることは、幸福度の平均値を押し下げる可能性がある。当然ながら「だから女性は外で働くべきでない」などと言いたいわけではないことを、念のため付け加えておく。

〔PHOTO〕iStock

「子どもの有無」で幸福度はどう変わる?

この結果を先ほどの知り合いの既婚女性に話すと、「分析が十分ではない」とお叱りを受けることが多い。働く妻、そして、専業主婦も、「子どもがいるかどうか」によって負担は大きく異なるからだ。それゆえ、子どもの有無別に働く妻と専業主婦の幸福度を比較しないと意味がないと言われる。

この指摘はもっともだ。確かに、働く妻でも、専業主婦でも、子どもがいる場合といない場合では負担に大きな差がある。日本の社会では、依然として育児の主な担い手は女性となる場合が多く、小さな子供を持つ女性の精神的・肉体的負担は計り知れない。

この点を明確に分析に反映するためにも、(1)子どもがいる働く妻、(2)子どもがいない働く妻、(3)子どもがいる専業主婦、そして(4)子どもがいない専業主婦にさらに細分化し、幸福度の比較を行った。

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