働く女性にとっての不妊治療

不妊治療を受ける際は、その周期の治療内容によって、生理開始日を起点として、排卵日や採卵日など病院の指定とおりに来院しなければいけないことが多い。治療計画はある程度パターン化されており生理周期にのっとって進められるので大まかな予定は前もって立つのだが、いかんせん女性の身体のことなので、生理開始日や排卵日をピタリと正確に予測することなど不可能である。

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また、卵子が育つスピードが周期によって異なることも往々にしてあるので、直前に来院予定日が変更になったり、医師の指示で想定していたよりも来院頻度が増えてしまうことも多い。働く女性にとっては治療周期毎のスケジュール調整が大きな課題になるのである。

また、人気のある不妊治療専門医院は、待ち時間が長く、会社に戻れる時間が読めないこともあるので、重要な会議を直後に控えている場合は、待合室で「そろそろ、会議に遅れるかもしれないとチームに連絡を入れた方がいいか、いや、もう少し様子をみてからか」と携帯電話を握りしめながら、終始ヤキモキ、イライラしていなければいけない。

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どうしても病院と治療スケジュールを合わせられなければ、その周期は治療をスキップするという選択肢もあるのだが、40歳を目前にして焦りが募ってきている患者にとっては、1周期も無駄にできないという気持ちが強くなってくる。そうすると、仕事のスケジュールの合間に無理やり治療スケジュールを合わせ込みつつ、生理開始日や排卵日が想定とずれないか、すれた場合はどの会議と出張はリスケができるのか、出来ないのか……。というところまで常に神経を尖らせていることになる。

私の場合、高度不妊治療が本格化したタイミングが、執行役員に昇格した1年目と重なったこともあり、当時のアシスタントの協力がなければ仕事と治療を両立させることは不可能だった。ありがたいことに十手先まで読める有能なアシスタントだったため、「今月は、このあたりに通院スケジュールが午前中に入りそうで、ここに仮置きしてある通院日(大抵は排卵予定日)は直前になって2・3日前後するかもしれないので、リスケできない会議や出張はなるべく避けてもらいたい」ということを伝えておけば、大概のことには上手に対応してくれた。

ただ、役員会や前々から決まっていた出張・会食などは、自分の力で動かせるものではなく、どうスケジュールをやりくりしても通院時間が確保できずに泣く泣く治療を諦める周期もあった。